水没へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 07:42 UTC 版)
水没住民との補償交渉は長きにわたったが1992年2月に補償交渉が妥結、以降本格的な建設が開始され岩手・宮城内陸地震による被害を受けつつも2011年には本体盛り立てがほぼ終了した胆沢ダムは、洪水調節、灌漑、水力発電といった石淵ダムの目的に加えて胆沢川に安定した流量を供給して「枯れ川」を防ぎ河川生態系を保護・維持する不特定利水、および奥州市衣川区を除く四区と金ケ崎町への上水道供給という2つの目的を新たに追加した特定多目的ダム法に基づく特定多目的ダムである。その規模はダム自体、貯水池何れにおいても石淵ダムを大幅に凌駕する規模となり、東北地方最大級の多目的ダムとなる。 石淵ダムと胆沢ダムの比較堤高堤頂長堤体積総貯水容量有効貯水容量湛水面積石淵ダム53.0 m 345.0 m 442,000 m3 16,150,000 m3 11,960,000 m3 108.0 ha 胆沢ダム132.0 m 723.0 m 13,500,000 m3 143,000,000 m3 132,000,000 m3 440.0 ha 2012年(平成24年)冬には胆沢ダムはダム本体に係る工事を終了し、試験的にダム湖に貯水を行う「試験湛水」を開始する。石淵ダムは2012年度の灌漑供給期が終了すると同時にダム管理業務を終了し、以後は洪水吐きゲートなど放流設備や管理施設などを撤去して試験湛水に備える。そして胆沢ダムに水没した後は上流からの流砂を貯留する貯砂ダムとして湖中で新たな機能を果たすようになる。また石淵ダムを取水元とする電源開発胆沢第一発電所は取水塔が水没するため、取水元を新たに胆沢ダムに変更するため現在の発電所を一旦廃止し、胆沢ダムに合わせて新しい胆沢第一発電所を建設する。出力は400キロワット減少し1万4200キロワットになる予定である。 胆沢ダムのように既存のダムを水没させてダム機能を大幅に増強させるダム再開発事業は、ダム建設地点が次第に枯渇してゆく現状において日本各地で実施されている。東北地方では1988年に青森県の浅瀬石川に建設された浅瀬石川ダムにより、日本で最初に多目的ダムとして施工された沖浦ダムが水没。また2010年(平成22年)には山形県の置賜野川に建設された長井ダムにより、山形県で最初に多目的ダムとして完成した管野ダムが水没している。また今後水没するダムとして青森県の岩木川に建設中の津軽ダムに水没する目屋ダムがあり、東北以外でも岐阜県の丸山ダム(木曽川)が新丸山ダムに水没する予定となっている。
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