気候変動に対する懐疑論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 01:09 UTC 版)
「ワシントン・タイムズ」の記事における「気候変動に対する懐疑論」の解説
タイムズ紙は、気候変動に対する懐疑論を促進させていることで知られる。ペンシルベニア州立大学地球システム科学センター所長のマイケル・E・マン(英語版)は、タイムズ紙を「気候変動に関する偽情報」を広めている主要なメディアであるとしている。ハーバード大学の科学史教授ナオミ・オレスケスと、カリフォルニア工科大学ジェット推進研究所の科学史家エリック・M・コンウェイ(英語版)は、2010年の著書『世界を騙しつづける科学者たち』(Merchants of Doubt)の中で、タイムズ紙は、極論を偏って報道したり、科学者がタイムズ紙の報道に反論できないようにしたりすることで、人為的気候変動の科学は論争中であるという誤った認識を一般大衆に与えていると書いている。タイムズ紙は、スティーブ・ミロイ(英語版)による北極圏での気候変動研究を批判するコラムを掲載したが、ミロイには化石燃料産業との経済的なつながりがあるということを明示しなかった。 コペンハーゲン国連気候変動会議(COP15)を前にした2009年11月の気候研究ユニット・メール流出事件(クライメートゲート事件)について、タイムズ紙は社説で「これらの捏造された科学の発覚は、地球温暖化のヒステリーや、証明されていない理論に対処するために推進されているパニック状態の政策を冷却する効果をもたらすだろう」と書いた。世界の8つの委員会がこの疑惑を調査したが、科学における不正行為の証拠は見つからなかった。2014年のタイムズ紙の社説は、「地球温暖化詐欺」を嘲笑し、「この惑星の温度は15年前から動いていない。山火事、竜巻、ハリケーン、その他の『異常』な気象現象は、平年並みかそれ以下のレベルである。太平洋の島々は水没していない。あまりにも多くの氷があるので、ホッキョクグマたちは喜んでいる」と主張した。タイムズ紙はこれらの主張を裏付けるブログ記事を引用しているが、ポリティファクトはそれらのブログ記事の主張を事実確認し、完全な誤りであると結論づけた。その後、タイムズ紙は、地球温暖化は停滞しており、NASAは地球寒冷化の証拠を発見したとNASAの科学者が主張したと報じた。『ニュー・リパブリック(英語版)』のレベッカ・リーバーは、そのNASAの科学者はタイムズ紙が主張したこととは逆のことを言っていると述べている。2015年、タイムズ紙は、「アメリカ海洋大気庁の活動は優れた科学ではなく、サイエンスフィクションである」と主張するラマー・スミス(英語版)下院議員のコラムを掲載した。 1993年、タイムズ紙は、気候変動に対する懐疑を示す記事を掲載した。1997年に締結された京都議定書についての記事の冒頭には、「この取り決めでは、アメリカにおける石炭や石油などの化石燃料の使用量が2002年までに3分の1以上削減され、その結果として消費者の生活水準が低くなり、経済成長が長期的に低下することになる」と書かれていた。 2021年11月、デジタルヘイト対策センター(英語版)(CCDH)が行った調査によれば、タイムズ紙が世界の10大極論発信者(ten fringe publishers)に含まれており、これら10の発信者を合わせると、facebookのユーザが気候変動を否定するコンテンツに接する割合は70%近くになる。facebookは、この研究の手法に異議を唱えた。
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