死者の「お迎え」現象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 02:19 UTC 版)
「お迎え現象」も参照 臨死体験中には死んだ親族などの姿が現れる。レイモンド・ムーディが「光の人物(フィギュア)」と名付けたこの現象については、臨死体験で蘇生した者のみならず、臨終を迎えた者に一定の割合で起こると結論した研究もある。 カーリス・オシス(英語版)とエルレンドゥール・ハラルドソンらが、1959年にアメリカで行った調査によると、死に瀕した患者35540名のうち、少なくとも1318名が死の直前に何らかの人物の訪れを目撃しており、それを医師や看護婦に報告していた。後にアメリカとインドで行われた2次調査では1708例のうち591例が同様の報告をしていた。出現する人物は、既に死んでいる者(死者)、まだ生きている者(生者)、神話的(歴史的)人物の3つのパターンがあった。具体的には死んだ親族や友人、イエス・キリスト、ヤムラージ等が現れる傾向がある。 こうした「お迎え」体験は、いくつかの点で通常の幻覚とは異なるものであった。まず、死期の迫る者の大半(3分の2)は、まだ生きている者ではなく「死者・宗教者」の姿を見るが、この傾向は健常者の見る幻覚とは正反対である。こうした死者の目的は、明らかに患者を別の存在界に移行させることのように見え、そうした「迎え」の姿を見る患者には、安らぎや歓喜、宗教的感情などが起こる。(こうした傾向も通常時の幻覚には見られない。)そして死者が訪れる際に、あの世的な光景を見る者も一定数おり、死者の幻姿が第三者に目撃されたという例も報告されている(→#臨死共有体験)。 ビジョンの内容と死亡時間には関連性がある事が判明している。アメリカとインドの末期患者471名のうち、62%の者が何らかの人物を見た24時間以内に死亡している。鮮明なビジョンを見た直後に死亡する者が特に多く、逆にとりとめのない幻覚を見たものほど死亡するまでの時間が長かった。幻覚性疾患や薬物の影響、脳の機能異常といった医学的要因と幻視との関連性は、ほぼ見られなかった(ただし傾向的には、そうした幻覚を誘発する機能異常を持っていた患者はとりとめのない日常や生者の幻覚を多く報告したのに対し、意識が正常で見当識のはっきりした患者には「死者のお迎え現象」が多く起きていた)。また、こうした現象は、自分が死ぬと思っていなかった(医学的にもそう診断されていた)が、実際は死の間際にいたという無自覚な重篤患者にも起こる事が判っており、患者自身による事前の予測と実際のビジョンの内容には有意な関係は見られなかった。 2007年に日本の宮城県で行われた調査では、回答者366名のうち、約40%の者が「他人には見えないはずの人の存在や風景」を臨終時の者が見ていた事を確認していた。最も多かったのは「すでに亡くなった家族や知り合い」を見たケースであり、これが臨終時のビジョンの半数を占めていた。
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