正田邸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 05:31 UTC 版)
美智子が家族とともに、出生から結婚までの大半を過ごした正田英三郎邸は、清水組によって設計・建設され1933年(昭和8年)10月に竣工した木造2階建て和洋折衷洋館。戦後の複合的な増築により屋根などの装飾が複雑に重なり、天窓などのモダニズム建築の要素も加えられた。近世イギリスのテューダー朝形式の英国風の屋根や、当時流行した木組みを表面に見せるハーフティンバー様式も取り入れたデザインは上流邸宅の典型。邸内は1階客室兼書斎の中央にマントルピースを備え、居間にはシャンデリアも下がり、和室も複数存在した。美智子の成婚後は、里帰り時の自動車が玄関に直接横付けできるよう、門、車庫周りを大きく改造した。 2001年6月、前年の英三郎死去に伴う相続税支払いのため、土地建物ともに国に物納され国有財産となる。昭和史の舞台であり稀少な戦前の邸宅が失われることを憂いた地域住民「旧正田邸を守る会」組織や西村眞悟衆議院議員らによって保存運動が展開され、ナショナル・トラスト(国民環境基金)方式によって、保存活用を図りたいと望む動きは全国に広がり、軽井沢町が移築・復元・保存を財務省に申し出るが、「皇后さまご自身は保存を望まれないご意向」が宮内庁長官から伝えられ、築70年目の2003年(平成15年)3月、解体された。跡地には2004年(平成16年)8月26日、品川区立公園であるねむの木の庭が開園した。園名は、美智子が聖心女子学院高等科時代に作った詩「ねむの木の子守歌」にちなんで命名された。竣工時の旧正田邸の門を模した正門、正田邸にあった庭石などがあり、暖炉の煙突をモチーフにしたガス灯などが配されている。園内には、皇后が歌会始で詠んだやまぼうし、ねむの木、ライラックや、美智子のお印である白樺などが植えられている。また、皇太子妃時代に、イギリスから贈られた薔薇プリンセス・ミチコも、初夏と秋に咲いている。
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