模造品の横行による有名ブランドの撤退
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 08:28 UTC 版)
「Amazon.com」の記事における「模造品の横行による有名ブランドの撤退」の解説
2020年現在、Amazon はアメリカでのEC市場シェアでは40%近くを占め、圧倒的トップにあるが、この頃よりディズニー、ナイキ、ワークマンなど有名ブランドが次々に Amazon から撤退する事態が起こり、牙城が揺らぎ始める。 その理由として、Amazon 内の模造品の多さによる「ブランドイメージの棄損」、自社独自で最終顧客に対してしっかりブランディングを行いたいというブランド側の思惑、モールに支払う割高な手数料がかからず、データベースなど含めプラットフォームに極度に依存する(ロックイン)ことのない自由な設計思想がベースになっているカナダ発の EC プラットフォームの Shopify(ショッピファイ)の進出、販売データや顧客データを管理することはできないという欠点などが上げられる。 Amazon ではいまだ第三者による大量のブランド品が販売され、偽造品の販売も横行しており、2019年からは日本でも偽物の排除を目的としたプログラム「Project Zero」を開始。商品情報を継続的に自動スキャンすることで偽造品の疑いがある商品を検知するシステムや、ブランド側が偽造品の疑いがある商品をサイト上から削除できる権限を持たせるなどの対策を行ってきたが、事実上放置に近い状態であり、なおかつモール側に直接の法的責任はない。 沼澤典史(清談社)は、Amazon は日本でもイギリスでも法人税を回避しており、「“違法行為はしないが脱法行為は否定しない”という遺伝子があるとすれば、真剣に取り締まっているかどうか、大きな疑問が残る」と発言している。さらに、「プラットフォームビジネスは、ブランド側からすれば、短中期的な売り上げが見込めるため参加する企業も多かったが、そのプラットフォームビジネスによって、皮肉にもブランドビジネスの本来のあり方が見直されるようになってきた」とし、ナイキやルイ・ヴィトンなど有名ブランドは、本来、出所表示、品質保証、広告宣伝の3つの機能が備わっているため、この機能による「ブランド力」のおかげで価格競争に左右されず、消費者は信頼して高い金額を払い商品を購入するのがブランドビジネスの基本だったのが、プラットフォームによる模造品の氾濫・安易な値引きでブランドビジネスモデルが成立しなくなったと指摘した。 一方、Shopify(ショッピファイ)は、2020年現在で9%弱のシェアで Amazon に次いで第2位につけているが、2020年の売上高は約3080億円で、前年比で86%増を達成。ショッピファイでは Amazon とは異なり、アカウントを作成して管理設定を行うだけで EC サイトが立ち上げできる。ショッピファイは基本的にはECサイト作成を主なサービスにしているため、モールに支払う割高な手数料が必要ではなく、結果、出品業者が続々とショッピファイに乗り換えているなど、Amazon の座を脅かす存在となっている。すでにネスレやゴーゴーカレー、コムデギャルソン、Red Bull など、有名企業でも商品力で勝負する企業が多くサイトを立ち上げているなどの変化が出ている。
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