構造と設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 15:03 UTC 版)
計画上の基本方針は以下のとおりである。 橋が県の名所となるように計画し、木橋技術の向上を図る 県内スギ材を素材として利用し、県林業の活性化を図る 設計施工上の問題点を具体的に示し適切な対策を行うことで、構造特性を満たす 構造部位に見合った材料試験を行い採用する部材を検討する 採用する木材に対し適切な維持管理方法を検討する 主径間の橋梁形式は、構造用スギ集成材の製作可能な部材高さの上限が2.0メートルである制約を考慮して選定された。桁橋では、桁高が3メートルを超える計算となり製作が不可能であるとされた。箱桁では、設計断面が活荷重たわみによって決定され、経済的な断面を得られないとされた。フィーレンディール橋は、木材のみでは支点部の剪断力が条件を満たさず、鋼製部材とのハイブリッド構造を採用しなければならないと判断された。斜張橋も同様であった。 この結果、現地の条件でスギ集成材により製作が可能な形式としては、トラス橋かアーチ橋であるとされた。下路アーチ橋(ローゼ橋)の場合、構造上の弱点となるジョイント数が多くなることから、トラス橋の中でもジョイント数がもっとも少なくなるキングポストトラス橋が適切であると判断され、また周辺の米良三山のイメージに合致するものとして採用された。 木材と鋼材の連結部は、鋼板で木材を巻いたうえでボルトで固定し、エポキシ系接着剤を充填している。また鉛直材と集成材の負担を低減するために、PC鋼棒を下弦材内部および鉛直方向に設置して、木材にプレストレスを導入するようにした。 単純桁橋の部分の主桁は、桁高1.3メートル、幅21センチメートルの構造用集成材を9本並べた構造である。またキングポストトラス橋の部分の主桁は、桁高1.83メートル、幅1.0メートルでコの字になった構造(下部に開いた部分が向く)である。トラスの上弦材は縦横1.0メートルの箱型断面である。床板は桁橋部で厚さ15センチメートル、トラス部で厚さ33センチメートルの木製で、トラス部はプレストレスを導入している。高欄は鋼製であるが、化粧材としてスギの一般材を利用している。 かりこぼうず大橋の諸元は、道路規格第3種第5級、設計速度30 km/h、重要度種別A種、活荷重 A活荷重、橋長140.0メートル(15.0+2×50.0+25.0)、支間長14.3メートル、48.2メートル、48.2メートル、23.2メートルとなった。 大きなトラスが2つと小さなトラスが1つの3連のトラスは、米良三山をモチーフとした設計になっている。また橋の名前の「かりこぼうず」は、西米良村に伝承されてきた森の精霊に由来して設定された、村のイメージキャラクターの名前で、山で猟をするとき獲物を狩り出して追う役目をする狩子から生まれている。
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