構造と反構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/07 01:30 UTC 版)
ヴィクター・ターナーはイニシエーション儀礼の構造に関するヴァン・ジェネップのモデルと社会的平衡を維持するための社会的葛藤の儀礼化に関するグラックマンの機能主義的視点とを儀礼における象徴のより構造的なモデルに結合した。彼の探求は儀礼内部での構造化された象徴的対立という視点とは正反対の方向に向かい、通過儀礼の境界的段階、すなわち「反構造」が現れる段階を論考の対象とした。この段階においては、「誕生と死」といった対立する状態が単一の行為、物体、もしくは言葉によって包括される。儀礼において経験される象徴の動的な性質は、説得力のある個人的経験を与える。儀礼は「『義務的なもの』を定期的に『望ましいもの』に変換するメカニズム」なのである。 イギリスの機能主義者メアリー・ダグラスはターナーの「構造」と「反構造」についての理論を拡張し、彼女の著作『象徴としての身体』において、「グリッド」と「グループ」という独自の用語を使った新しい議論を提示した。彼女はレヴィ=ストロースの構造主義的アプローチに基づきながら、儀礼を「社会行動を制約する象徴的コミュニケーション」と位置づけた。「グリッド」は象徴システムが座標軸として共有されている度合いを指し、「グループ」は人々が緊密に編み合わされた共同体に縛られている度合いを指す。これらを縦軸と横軸として図示すると、四つの象限が示される。すなわち「強いグループ・強いグリッド」「強いグループ・弱いグリッド」「弱いグループ・弱いグリッド」「弱いグループ・強いグリッド」である。ダグラスによれば、強いグループまたは強いグリッドをもつ社会には、グループまたはグリッドの弱い社会におけるよりも多くの儀礼活動が存在しているという(下の「宗教性の尺度としての儀礼」の項も参照)。
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