植物における浸透圧調節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/23 16:14 UTC 版)
「浸透圧調節」の記事における「植物における浸透圧調節」の解説
高等植物には浸透圧調節のための特別な器官は存在しないが、気孔は蒸発散による水分喪失の調節に重要であり、細胞レベルでは液胞が細胞質の溶質濃度の調節に重要である。強風、低湿度、高温、これらはすべて葉からの蒸発散を増加させる。アブシシン酸は植物が水分を保存するために重要なホルモンであり、気孔の閉鎖を引き起こし、より多くの水分を吸収できるよう根の成長を促す。 植物は、動物と同様に水分を得るための問題を抱えている。その一方で動物とは異なり、植物における水分の喪失は、多くの養分を土壌から組織へ移動させるための駆動力として重要である。ある種の植物は水分の保存のための方法を進化させている。 乾生植物(英語版)は砂漠のような乾燥した地域でも生き残ることができ、長期間の水分不足にも耐えることができる。サボテンのような多肉植物は、巨大な柔組織の液胞に水を貯蔵する。他の植物は、マツのような針状の葉、陥没した気孔、ワックス状のクチクラ層など、水分の喪失を減らすための葉の変化が生じている。オオハマガヤ(英語版)は巻いた形状の葉を持っていて、その内側に気孔が存在する。 水生植物は水辺に生息する植物であり、水中もしくは湿った場所で育つ。これらの植物、例えばスイレンなどでは、水分は植物の表面全体から吸収される。 塩生植物は海に近い沼沢地に生息し、そのため塩濃度が高く水ポテンシャルが低い(高浸透圧の)土壌から水分を吸収する必要がある。この状況に対し、塩生植物は根にオスモライトなどを蓄積することで根の細胞の水ポテンシャルを下げ、浸透によって水分が流入するようにしている。余剰の塩分は細胞に蓄えられるか、葉の塩類腺(英語版)から排出される。分泌された塩分は空気中の水蒸気を補足するのに役立ち、液体となって葉の細胞に吸収される。アッケシソウやスパルティナスパルティナ(英語版)などでは、この方法によってより多くの水を空気中から得ている。 中生植物(英語版)は、温帯の陸地に生息する植物で、水分を多く含む土壌で育つ。蒸散による水分の喪失は、土壌から水分を吸収することで補うことができる。過度の蒸散を防ぐために、クチクラと呼ばれる防水性の被膜が発達している。
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