植物における外来種とその影響と対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/20 09:19 UTC 版)
「小笠原諸島の自然」の記事における「植物における外来種とその影響と対策」の解説
これまで人間による影響が最小限に済んでいる南硫黄島は維管束植物の外来種が約5パーセントと低率であるが、他の小笠原諸島の島々には多くの外来種が入り込んでいる。中でも沖縄などに自生するアカギ、戦前に小笠原諸島に導入されたギンネム、リュウキュウマツ、モクマオウ、ガジュマルなどが小笠原諸島の生態系に悪影響を与えている代表的な外来種の植物である。 中でもアカギは比較的湿潤な環境である母島で猛烈な勢いで分布を広げ、ワダンノキ、テリハハマボウなどに代表される多くの貴重な固有種が生育する母島の森林の生態系に深刻な打撃を与えている。もともとアカギの原産地では森林内の1種にすぎず、他の樹木の生育を圧迫するなどといった生態系に対する負荷をもたらすような樹木ではないが、小笠原諸島、特に母島では気候や土壌がアカギの生育に適している上に、生育の早さなどでアカギのライバルとなる樹木がなく、アカギの実の捕食や菌類による影響も少ないと考えられ、結果としてアカギが急速に在来種を駆逐している。 またモクマオウは19世紀後半に小笠原諸島に導入され、現在父島列島、母島列島に広がっているが、モクマオウが繁茂した地域では大量の落ち葉が溜まり、他の植物がほとんど生育できなくなってしまう。そしてギンネムもかつて人家があった地域を中心に勢力を広げ、生態系に悪影響を与えている。その他にもリュウキュウマツ、ドクヅル、キバンジロウ、セイロンベンケイソウなども小笠原諸島内で分布を広げ、生態系に悪影響を与えている。現在、アカギなど小笠原諸島の生態系に悪影響を与えている植物については、駆除などの対策が進められている。 また戦前、養蚕のために南西諸島から導入されたとされるシマグワは父島、母島の各地で野生化し、小笠原在来種のオガサワラグワとの交雑が進んでいることが明らかになっている。最近の研究では父島、母島で生育するほとんどのオガサワラグワはシマグワとの雑種であることが判明しており、小笠原固有種と近接種との雑種の問題も発生している。
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