朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による瀬取り
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「瀬取り」の記事における「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による瀬取り」の解説
国連安保理決議2375号(2017年9月採択)により、国連加盟国は北朝鮮籍船舶に対する又は北朝鮮籍船舶からの洋上での船舶間の物資の積替え(いわゆる「瀬取り」)を容易にし、又は関与することが禁止されている。これは、核・化学及び生物兵器、並びにその運搬手段の拡散を防止するために行われるもので、朝鮮民主主義人民共和国が数々の国連安保理決議に違反したために採択されたものである。 2018年5月3日 韓国船籍のタンカーが東シナ海の公海上で、北朝鮮船籍のタンカーに近づき横付けしている様子が確認された が、韓国政府は否定した。しかし、韓国の港では制裁後も北朝鮮産の石炭が何度も搬入されているのが確認されたため、2018年7月に、アメリカ合衆国連邦政府は韓国大統領文在寅に対して、北朝鮮産石炭の韓国への搬入を幇助して対北朝鮮制裁に穴を開けるのを黙認しないよう警告した。 2018年7月に、アメリカ合衆国が国連安保理に提出した文書にて、「北朝鮮が国連安保理の制裁に違反して石油製品を違法に密輸入している」として、中華人民共和国とロシア連邦の企業を黒幕に挙げた。北朝鮮は、2018年1月から5月までに確認出来ただけで、海上で20隻以上の船で計89回にわたって瀬取りを行い、決議で制限された年50万バレルの3倍以上の石油を違法に手に入れたことが発覚している。スティーブン・ムニューシン財務長官は7月12日の米国連邦議会下院の聴聞会に出席し、「北朝鮮に対する制裁を緩和する計画はなく、むしろその反対。北朝鮮制裁の効果で北朝鮮は交渉テーブルに出てきた」と制裁の効果とその継続を支持した。 なお、瀬取りの取り締まりは、大韓民国軍でも行われており、報道によれば、大韓民国軍が確認した件数として、2017年には60件あまりだったものが、2018年では130件にまで増えた、とされている。また、米国の国連代表部が北朝鮮制裁委員会に提出した報告書では、2018年1月から5月までの間の瀬取りでは、89回はあったとされている。 北朝鮮の瀬取りに対して、艦艇や航空機による監視活動に参加している国は2019年時点で8カ国に達している。日本、アメリカ合衆国、カナダ、大韓民国、イギリス、フランス、オーストラリア、ニュージーランドである。監視に従事する艦艇が、台湾海峡を通過して移動することもあり、参加国の高官は匿名を条件に、東シナ海や南シナ海における中国への牽制を副次的な目的としているとコメントしている。日本では海上自衛隊、海上保安庁が担っており、重点監視対象の東シナ海中央部は「瀬取り銀座」とも呼ばれる。
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