ゆうきはくまく‐たいようでんち〔イウキハクマクタイヤウデンチ〕【有機薄膜太陽電池】
読み方:ゆうきはくまくたいようでんち
有機薄膜太陽電池
別名:有機太陽電池,有機系太陽電池,有機薄膜型太陽電池
【英】Organic Photovoltaics, OPV
有機薄膜太陽電池とは、有機半導体材料の薄膜を基板に塗布(印刷)して製造される太陽電池のことである。
従来の一般的な太陽電池では、シリコンをはじめとする無機半導体材料が主に使用されている。基板にはガラスなどが使用されており、小型化・軽量化には限界があり、形状の柔軟性にも乏しいという難点があった。
有機半導体太陽電池は導電性高分子などの有機材料が使用される。薄膜を基板に印刷する方式で製造できるためコスト削減が図りやすく、軽い、極薄化もしやすいといった利点がある。サイズや形状も柔軟性に富み、基板の素材によっては立体的な曲面、半透明、フレキシブル(折り曲げ可能)な太陽電池も実現できる。
有機薄膜太陽電池は2000年代後半から本格的な研究開発が始められた。エネルギー変換効率は2010年前後に10パーセント台を超えたが、まだ実用化には至っていない。しかしながら開発技術は加速度的に進行しており、2014年現在、将来的な実用化が期待されている。
参照リンク
有機太陽電池(OPV)の実用化に向けて - (三菱化学)
有機薄膜太陽電池
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/27 14:33 UTC 版)
有機薄膜太陽電池とは導電性高分子やフラーレン等を組み合わせた有機薄膜半導体を用いる太陽電池。
概要
次世代照明/TVの有機ELの逆反応として研究が進展した。有機薄膜太陽電池は光エネルギー損失が0.7eVから1.0eVで無機太陽電池(0.5eV以下)に比べて大きいため、吸収できる太陽光エネルギー(禁制帯幅)に対して出力できる電圧が無機太陽電池に比べて小さく、高効率化の妨げになっていた[1]。 ロールツーロールでの印刷による製造が可能になるためコストの低下が期待されている[2]。色素増感太陽電池よりもさらに構造や製法が簡便になると言われており、電解液を用いないために柔軟性や寿命向上の上でも有利なのが特長である。21世紀に入ってから盛んに開発が行われるようになっている。課題は変換効率と寿命であり、2016年2月現在の記録はドイツのヘリアテック(Heliatek)が開発した多接合型セルによる13.2%が世界記録である[3]。
理論的には15%の効率も可能とされる[1]。
有機薄膜太陽電池の利点
- 大面積化が比較的容易。
- 無機半導体の太陽電池の製造工程と比較して生産設備は大規模なクリーンルームや真空設備を必要としない。
- 無機半導体の太陽電池の製造工程と比較して製造工程の温度が比較的低温でエネルギー消費が少ない。
有機薄膜太陽電池の欠点
- 無機半導体よりも変換効率が低い。
- 無機半導体よりも耐久性に劣る。
有機薄膜太陽電池の劣化要因
塗布型有機薄膜太陽電池の製造工程
原材料を基盤に塗布する。有機溶剤を蒸発させる。
関連項目
脚注
外部リンク
- 有機薄膜太陽電池の基礎- [リンク切れ] 有機薄膜太陽電池の基礎 at the Wayback Machine (archived 2015-01-31) - 慶應義塾大学 理工学部 物理情報工学科
- 有機薄膜太陽電池の基礎
- 低コストと高性能を実現する有機薄膜太陽電池技術 - [リンク切れ] 低コストと高性能を実現する有機薄膜太陽電池技術 at the Wayback Machine (archived 2012-04-25) - 東芝レビューVol.67 No.1 (2012)
- 有機薄膜太陽電池用 アクセプター材料の開発 - [リンク切れ] 有機薄膜太陽電池用 アクセプター材料の開発 at the Wayback Machine (archived 2016-08-04)
- 有機薄膜太陽電池に用いる有機半導体の設計と合成
- 有機薄膜太陽電池のページへのリンク