最近の氷期・間氷期と最終氷期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 04:36 UTC 版)
「氷河時代」の記事における「最近の氷期・間氷期と最終氷期」の解説
「氷河時代の年表 § 第四紀氷河時代の編年表」も参照 更新世の氷期と間氷期には名前がつけられている。最近のものから新しい順に並べられている(年代は1000年BP)。北米、北欧、アルプス(ドイツ)、ロシア、イギリス、イタリア、南米、ニュージーランドの研究者は別の名称を使ってきた。日本ではアルプス名を使うことが多い。 北米北欧アルプス日本氷/間氷年代 後氷期 間氷期 15– Wisconsinian Weichsel or Vistula Würm ヴュルム 氷期 15–70 Sangamon Eemian Riiß-Würm 間氷期 70–130 Illinoian Saale Riß (Riss) リス 氷期 130–180 Yarmouth Holstein Mindel-Riß 間氷期 180–230 Kansan Elster Mindel ミンデル 氷期 230–300 Aftonian Cromer Günz-Mindel 間氷期 300–330 Nebraskan Elbe Günz ギュンツ 氷期 330–470 Waalian 間氷期 470–540 Weybourne Donau II ドナウII 氷期 540–550 Tiglian 間氷期 550–585 Donau I ドナウI 氷期 585–600 ただし、氷河時代は場所と時間の別により、さらに細かく区分されることがある。たとえば、リス (Riß) 氷期(18万年前から13万年前)とヴュルム (Würm) 氷期(7万年前から1万年前)は、特にアルプス地方の氷期を指していうときの区分である。氷床が最も拡大したときの範囲は、完全な隔たりがあるために保たれていない。これは各氷期での研磨作用によって、(年代的に)前の氷床の痕跡のほとんどがほぼ完全に消し去られてしまいやすいからであるが、例外として、後の氷床が前の氷床を完全に覆い尽くすことがなかった地域では、古い方の氷床の痕跡がみられる。 南北の大陸氷床の発達により、最近の氷期・間氷期では海水準が大きく変動したことが知られている(ただし時代を遡ると地殻変動の影響が無視できなくなる)。蒸発した海水が両極に氷床として固定されるため、地上の海水の体積全体が減少し、結果として世界的に海水準が低下する。反対に氷期の終了に伴って融解水が海洋に還元されると海水準は上昇する。海洋酸素同位体ステージによって示される氷床量の変動は、特に新しい時代になるにつれて、世界的な海水準の変動を反映しているといって良い(上記「過去500万年間の氷期・間氷期の変動を示す堆積物の記録」グラフ参照)。その変動幅は最近の氷期では100m以上におよぶ。 日本近海では、太平洋と日本海を結ぶ海峡の深度が浅いため、少なくとも過去数十万年の間の氷期では、海水準の低下に伴って対馬暖流の流入が止まり、気候に大きく影響を与えた。氷期には寒冷化のために亜寒帯林が西日本まで分布していた。また、対馬暖流が流入しないため(現在の日本海側の降雪は対馬暖流の蒸発量に影響を受ける)氷河は日本アルプスおよび北日本の高地にわずかに発達するのみであった。それでも、これらの氷河が最終氷期に形成したカールやモレーンなどの氷河地形は現在の日本アルプスや日高山脈で明瞭に確認することができる。 最も新しい氷期は最終氷期とも呼ばれる。最終氷期の終了後、人類が定住し農業が発展するという出来事が起こった。このことは農業の発達が人類の生活様式と深い関係があるということであろう。
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