暗視と熱画像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 07:14 UTC 版)
並外れた性能特性(高ゲイン、特異なスペクトル感度(英語版)、高分解能、低ノイズ)を持つ画像システムは、それらを生産できる少数の国によって、輸出が厳しく制限されている。これは主に敵戦闘員への拡散を制限するためと、他の世界列強が行う避けられないリバースエンジニアリングを遅らせるためである。 暗視ゴーグルに使用されるイメージ増強管や、偵察衛星や赤外線カメラに使用される焦点面アレイなど、これらの精密部品は、自然写真、医用画像処理、消防、肉食動物の個体群管理など、多くの民生用途に使用されている。 BBC自然ドキュメンタリーシリーズ「アフリカ」の野生の象とサイの夜のシーンは、ルナックス社スターライトHDカメラ(第3世代のイメージ増強管を含む特注のデジタルシネマリグ)で撮影され、デジタルで再色付けされた。 アメリカでは、L3ハリス・テクノロジーズ、FLIRシステムズ(英語版)などの防衛関連企業が製造したアメリカ製の暗視システムやサーマルシステムを民間人が自由に売買できるようになっており、ほとんど制限はない。しかし、アメリカの暗視システムの所有者は、国際武器取引規則(英語版)に基づき、機器を国外に持ち出したり、国際的に販売したり、外国人を招待してその技術を検査したりすることはできない。 アメリカ製イメージ増強管の輸出は、商務省および国国務省のライセンスに基づいて選択的に許可されている。ライセンス取得の要因としては、輸出先国との外交関係、販売個数、機器自体の相対的品質などが挙げられるが、これはいくつかの主要な性能特性から算出されるFOM(性能指数)スコアで表される。 競合する国際メーカー(欧州の防衛関連企業フォトニスグループ、日本の科学機器大手の浜松ホトニクス、ロシアの国営研究所JSCカトッド)は、ライセンス輸入業者を介してアメリカ市場に参入している。これらの部品は外国産であるにもかかわらず、アメリカ外への再輸出は国内部品と同様に制限されている。 商務省と産業安全保障局による2012年の評価では、性能格差の縮小と国際的な競争の増加を考慮して輸出規制を緩和すべきだとし、2015年に国務省国防貿易管理課(英語版)が実施した見直し期間では、より詳細な性能定義が導入された。
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