明訓高校戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 22:51 UTC 版)
予想以上に多数の観客が甲子園球場に詰め掛けたため、急遽ラッキーゾーンを開放し、甲子園球場には6万人の大観衆が入場した。 義経の「第一球どまん中ストレート」の予告を受け、明訓・土井垣監督が1番打者にど真ん中が打てない岩鬼ではなく本来4番打者の山田を置く変則打線を組み、山田の高校時代唯一のプレイボール・ホームランで1点を先取される。しかし実は、これは鈍足・山田を1番におかせて明訓の攻撃スタイルを崩すことが目的だった。 攻め手を封じられた明訓は、7回裏、内野安打で出塁の義経を一塁においてつづく武蔵坊を敬遠する作戦に出るが、この敬遠のボールをホームランされ、逆転を許す。 9回表2死、今度は「1番山田」が弁慶高校にとって裏目となって山田に打席が回る。6万人の大・山田コール一色の中、山田はその期待に応え、初球を右翼席上段に運ぶ。球場やテレビで観戦していたライバルたちが皆感嘆し唸る見事な同点ホームランであった。 9回裏、1死から義経がレフト前安打で出塁。つづく武蔵坊のホームラン性の打球を、セカンド殿馬が彼ならではのジャンプで阻止、シングルにとどめる。そして次の5番安宅のセンターへ抜けかけた打球をこれも殿馬が好捕、ショート石毛にトスして一塁走者・武蔵坊を封殺。しかしダブルプレーをねらった石毛の送球が武蔵坊の頭部に命中してしまう。併殺崩れの間にサヨナラのホームをねらった義経を刺そうと、殿馬がこぼれ球をひろってバックホーム。タイミングは完全にアウトだったが、義経は大ジャンプ「八艘飛び」で捕手・山田の頭上を抜き、アウトになることなくホームインし、弁慶高校のサヨナラ勝ち。 明訓 1 0 0 0 0 0 0 0 1 = 2 弁慶 0 0 0 0 0 0 2 0 1x = 3x 石毛の送球を頭部に受けた武蔵坊は、打倒明訓を果たしたことを確認した後、グラウンドに倒れ、続く三回戦を欠場することになった。 明訓が公式戦で敗れたら日本ハムに入団する、と当時の大沢啓二監督と約束していた土井垣監督は、この試合に敗れた後、約束通り日本ハム入りした。 作者の水島新司は明訓敗戦後に掲載誌「週刊少年チャンピオン」に寄せた随想で、「明訓高校は開幕試合で土佐丸高校と対戦して敗れることを考えていた。しかし、明訓は東北地方の高校と対戦していないことに気づき、岩手県の弁慶高校の義経光と武蔵坊数馬を考え出したところ、義経と武蔵坊のキャラクターが気に入ってしまった。そこで、明訓に初黒星を付ける役は彼らに託すことにした」と明かしている。
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