日本酒と燗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 13:20 UTC 版)
熱燗は酒を味わいつつ、身体を温められる飲み方として冬に多く行われる。日本酒は嗜好品であるため真夏でも燗酒を、真冬でも冷酒や冷やを好む者もいる。燗に向いているとして販売される銘柄も多い一方で、日本酒の中でも吟醸酒(純米大吟醸、純米吟醸、吟醸)など高価な酒については原則的に燗をつけず冷やして(常温の「冷や」よりも低い温度の所謂「冷酒」で)提供されることが多い。これは燗をつけると造りの良し悪しが露呈してしまい、純米、アル添を問わず良くも悪くもハッキリと好き嫌いが分かれてしまうことや、特に高温で燗すると繊細な味わいが損なわれると考えて推奨しない蔵元や飲食店も多いことが理由である。 そもそも冷蔵庫や氷で冷やすことは日本酒の伝統からは外れており、(大)吟醸酒だからといって燗はタブーではない。季節(気温)や体調、肴により、冷や(常温)やぬる燗、熱燗などの好みの温度で飲まれることを杜氏をはじめ酒蔵人は望んでいる。それゆえ、「沈んでいた香りが立ってくる」などとして吟醸酒でもぬる燗を薦める記述を製品ラベルに記載する蔵も多くなった。なお、特に夏場に発売の多い純米酒、特別純米などでは人工的に冷やして飲むことを前提に開発された銘柄もあり、全てが燗に適する、燗しなければならないということでもない。 日本酒は、古くから燗が行われてきた。燗という行為は、世界的に珍しい行為ではあるものの、醸造酒に燗をするのは、焼酎のような蒸留酒に燗をすることに比べると、珍しい行為ではない。例えば、中国の黄酒を飲む際などにも、古くから行われてきた行為である(詳しくは「中国酒と燗」の節などを参照のこと)。江戸末期の俳人雀庵は『さへづり草』で「酒をあたためるをカンと云。カンとは熱からず、冷たからぬ間をいへるにて間也」と記している。 燗を専門とする職人がいる。 ひれ酒や骨酒では魚の旨味を引き出すため熱い燗酒が注がれる。燗をつける際、基本的にスパイスや砂糖などが加えられることはない。原酒のようにアルコール度数の高い日本酒では加水してから燗をつけることもある。
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