日本語以外への応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 06:00 UTC 版)
親指シフトの特徴である「親指と他の指の同時打鍵により、一つのキーを3通りに活用する」という考え方は、日本語以外にも応用の可能性がある。 世界で使用されている言語の表記方法はさまざまで、例えば文字の数も英語と同じ程度から、漢字のように数千〜数万に及ぶようなものまで、多種多様である。このため、もともと英語の入力のために作られているQWERTYキーボードを、英語以外の言語の入力に使おうとすると、何らかの工夫が必要となる。 例えば、 日本語におけるローマ字入力のように、発音のアルファベット表記に沿った形で入力する方法 日本語におけるかな入力のように、文字あるいは文字の構成要素を適宜キーの上に配置する方法 がある。 いずれの場合も、ある意味で「間に合わせ」のやり方にならざるを得ないところがあり、特に (1) については、アルファベットの出現の頻度や続き具合がさまざまで、QWERTY配列が適切なものになることは保証されない。また、(2) については、文字の数がアルファベットに比べて多いために、タッチタイプがし易いホームポジションと、その上下を含む計30のキーに納まりきらない場合が多い問題が起きることがある。 親指シフトは、こうした問題の解決に役立つ可能性がある。すなわち、(1) タッチタイプがし易い30キーに小指シフトによる活用を加えても60文字なのが90文字にまで拡大する、(2) 親指によるシフトに例えば声調など、言語固有の特徴を付与することにより習得が容易になる利点が考えられる。 親指シフトは当初、日本語のワープロ専用機という他への移植がしにくいプラットフォームに採用されたこともあり、日本語以外への実装は行われていない。理論的なモデルについては、いくつかの例がある。富士通の菅野じん等による特許が、中国語、朝鮮語、ベトナム語、ビルマ語、チベット語、イ語についてある。また、横浜国立大学の村田忠禧は、中国語について別の提案をしている。 これらのモデルには、すでに述べた利点が織り込まれていることが分かる。例えば、ベトナム語やイ語においては、親指によるシフトが母音の声調を区別するのに使用されている。また、村田案の中国語においてはクロスシフト(文字キーと反対側の親指によるシフト)に、特別な漢字を割り当てている。 これらに加え、親指シフトに限ったことではないが、ソフトウェア的制御の活用により、こうした言語における入力方法を容易にすることが可能になる。例えばハングルの入力においてはホームポジションのキーに子音と母音を共通して割り当てているが、これは入力の順番でどちらを入力しているかを、コンピューターが判断するというやり方を採用している。またチベット語では、入力に対する結果をユーザーが選択するやり方を採用している。
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