新警察法時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 09:27 UTC 版)
1954年の新警察法施行時点で、警察組織が保有する拳銃約124,000挺のうち87.3パーセントが米軍からの貸与品であった。また1955年6月1日付で、これらは譲渡に切り替えられた。 上記のような経緯の結果、1955年の時点で、警視庁が使用していた拳銃は下記の通りであった。 .38スペシャル弾コルト・コマンドー コルト・オフィシャルポリス コルト・ディテクティブスペシャル S&W ビクトリー S&W ミリタリー&ポリス S&W チーフスペシャル .38レギュラー弾S&W レギュラー・ミリタリー&ポリス(K-200) .45ACP弾コルト M1911/M1911A1 コルト M1917 S&W M1917 .32ACP弾コルトM1903 FN ブローニングM1910 .25ACP弾FN ブローニング・ベビー その後、警察官の増員に伴い、昭和34年度以降は輸入も再開された。昭和35年度、国産のニューナンブM60が採用され、昭和43年度以降の調達はこちらに一本化された。当時、供与拳銃のうち多数を占める45口径拳銃、特にM1917リボルバーについては、第一次世界大戦以来の老朽品であり、耐用年数を過ぎて動作不良や精度低下を来していたほか、警察用としては威力過大であり、大きく重いために常時携帯の負担が大きいという不具合も指摘されていた。上記の新規購入の進展に伴い、昭和40年度より、これらの老朽銃の更新が開始された。また1970年代には220挺程度のワルサーPPKが輸入されて、セキュリティポリス(SP)の警護官や皇宮護衛官を中心に配備されたと言われている。しかしそれでも、昭和49年度末の時点で、警察組織が保有する拳銃約193,000挺のうちおよそ半数にあたる約95,000挺を譲渡品が占めていた。 ニューナンブM60は、外国製と比して射撃精度に優れ、また日本人の体格に合っていたこともあって好評であったが、1990年代にその生産が終了すると、再度輸入が開始された。1997年にはS&W M37エアーウェイトが大量発注され、また2003年に5,344丁、2005年にも5,519丁が購入されている。また2006年にエアーウェイトの販売が終了すると、やはりS&W社の拳銃に所定の改正を加えたサクラM360Jの調達が開始された。エアーウェイトの採用以降は警察官の装備軽量化のため、調達する回転式拳銃は2インチ銃身と定められている。 またこの時期には、自動拳銃の調達も開始された。1990年代に行われたトライアルでは、ベレッタM92、グロック17、H&K P7M8、SIG SAUER P230、ミネベア社の国産試作銃が候補とされた。最終的に.32ACP弾仕様のP230が採択され、マニュアルセフティやランヤードリングの追加など所定の改正を加えたP230JPが発注された。ニューナンブ生産終了後に調達の主力をこちらに移すことも検討されたものの、これは実現しなかった。 装備品の拳銃が盗まれた記録として、1966年(昭和41年)から1974年(昭和49年)7月までの9年間で6件7丁というものがある。拳銃を盗まれた当事者の警官は、いずれも懲戒免職や停職など厳しい処分を受けている。この期間に盗まれた拳銃のうち4丁が未回収であるが、このうちの2丁は韓国で大統領暗殺未遂事件に使用されて韓国当局に押収されている。
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