新伊方町
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 02:59 UTC 版)
2001年に成立した小泉内閣は、地方交付税制度を見直すことで平成の大合併を促進し、多くの市町村が合併を行った。国からの地方交付税の減少によって、もともと悪かった瀬戸町・三崎町の財政はさらに悪化した。健全な財政を保っていた伊方町は合併によって地方交付税が増えることに財政的メリットを見出し、以前から消防・ごみ処理などで一部事務組合を結んでいた瀬戸町と合併協議をスタートさせた。しかし、佐田岬半島の先端に位置する三崎町の町長は、伊方・瀬戸両町を飛び越え、八幡浜市・保内町との「飛び地合併」を提唱した。町長がこのような合併を提唱した背景には、八幡浜市を中心として西宇和郡5町(保内・三瓶・伊方・瀬戸・三崎)を合併させようとした愛媛県庁の意向があるとする見方がある。しかし、三崎町民の多くは住民投票で伊方町・瀬戸町との合併を望み、伊方町も財政力を維持するために八幡浜市との合併を望まなかったため、伊方町・瀬戸町・三崎町が対等合併し、新・伊方町が誕生した。 合併の際、電源三法交付金の積立である伊方町地域振興基金31億1680万8000円の使途は旧伊方町に限ると合併委員会で決定された。また、旧伊方町の各世帯は旧瀬戸・三崎町よりも多くの原子力発電施設等周辺地域交付金を受け取っている。 合併後の伊方町は職員の三役・議員の自然減や一般職員のリストラによって人件費を削減した(特に瀬戸と三崎の総合支所の職員数は大幅に減らされた)。2002年度から2009年度にかけて、職員数が322人から243人に減り、職員の減少率は24.5%と愛媛県内最高を記録した。それでも伊方町の財政力指数は1.259から0.570にまで悪化し、普通交付税の交付団体になってしまった。 伊方町は原発の減価償却による固定資産税の低下に対して、2003年より法定外普通税の使用済み核燃料税の導入を検討した。しかし、2009年に愛媛県が県税の燃料税率を10%→13%に引き上げ、1%分を伊方町と八幡浜市に配分することになり、伊方町は使用済み核燃料税の導入を見送った。 合併後も人口流出・高齢化は進み、人口は合併前(2004年)の旧3町合計13076人から2009年には12118人に減少した。伊方町は対策として風力発電や観光業の振興に取り組む姿勢を示している。
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