教訓と再発防止策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 06:02 UTC 版)
「福島第一原子力発電所事故」の記事における「教訓と再発防止策」の解説
この重大事故をしっかり検証して根本的な改善策を講じるべきという表明が、菅直人首相をはじめ、枝野官房長官、東京電力、国際原子力機関 (IAEA)、日本原子力協会、その他専門家、政治家などから出された(「#専門家による指摘」および「#福島原発事故後の、事故リスク評価に関する報道」参照)。 事故を機に、他の原発や核処理施設の安全性や今後のエネルギー政策の論議が高まった。4月21日、本事故を受け東京電力は柏崎刈羽原子力発電所に海抜高さ15mの防潮堤を設置し2013年6月に完成目標と発表。本事故前の3.3mの津波を想定したものから高くする。また5月6日、菅直人首相は浜岡原子力発電所の全ての原子炉の当分の間の停止を中部電力に要請した。 政府は、今回の事故を教訓とし、原子力産業を監督管轄して安全を確保する立場の原子力安全・保安院を、エネルギー確保を重視する経済産業省から独立させ、環境省外局の原子力規制委員会として再発足させた。原発の新規制基準が策定され、大規模な自然災害やテロ攻撃を想定すること、重大事故対策を義務付けること、既存の原発にも新基準を適用することとした。事故後、日本の全ての原発が運転停止に追い込まれたが、政府は新規制基準に基づき規制委員会の審査に合格した原発から再稼働させるとしている。 2012年10月13日の『読売新聞』によれば12日、東京電力は第三者で構成される「原子力改革監視委員会」の初会合を開いた。委員長は元アメリカ合衆国原子力規制委員会長デール・クライン (Dale E. Klein)、委員は英原子力公社UKAEA名誉会長のバーバラ・ジャッジ (Barbara Judge)、大前研一、櫻井正史。同年6月20日、東電社内の福島原子力事故調査報告は「我が国(日本)のどの地震関連機関も考えていなかったことから、知見を超えた巨大地震・巨大津波であったといえる。」として事故対応の初動も誤っていなかったとしていたが、初会合の10月12日、委員会として「事前に津波対策を取ることは可能だった」との前提で改革の対象や範囲を制限しない、経営層が安全性向上に主導権を発揮するなどの原則を掲げた。クライン委員長は記者会見で「東京電力も政府も自然の猛威を過小評価していた。あらゆるシナリオに目を向けた改革を進める」と強調した。
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