攻撃的なコピーガード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 01:56 UTC 版)
「コピーガード」の記事における「攻撃的なコピーガード」の解説
上記の通り、他人の著作物等に施されているコピーガードを回避してコピーを作成する事は違法行為であるが、違法である事を知りながらコピーガードを回避する一般消費者は依然として後を絶たない。そうした中、無許可での複製を防ぐために、ユーザーに断り無く秘密裏に監視ソフトをユーザーのパソコンに組み込んだり、不正を行った場合にユーザーのパソコンのデータを消去するような、攻撃的なコピーガードも登場した。前者の方法は多くの正規利用者にも影響が及ぶ。自己の権益保護のために他者の権利に損害を与えるような手段は自己防衛のためといえども自力救済を禁じた近代法の理念に反し、そのような行為は電子計算機損壊等業務妨害罪や電磁的記録毀棄罪などに問われる可能性がある。2011年の刑法改正で、このような攻撃的なコピーガードの作成および提供が不正指令電磁的記録に関する罪に問われることとなり、法が世論に追いついたことで、少なくとも日本においてはこのようなコピーガードはほぼ姿を消した。 WinGroove事件 詳細は「WinGroove」を参照 シェアウェアのソフトウェアシンセサイザ「WinGroove」に、不正に流通している特定のIDとパスワードを入力すると、ハードディスクのFATを消去しデータを読み出せなくしてしまうトラップが仕掛けられていた事件。なお、作者は試験的に作って組み込んだトラッププログラムを取り除かずに誤って公開してしまった事故と主張している。その後のバージョンのWinGrooveにはこのルーチンは実装されていない。 Vocal Cancel事件 詳細は「Vocal Cancel」を参照 シェアウェアの音声ファイル変換ソフト「Vocal Cancel」に、不正に流出していた特定のIDとパスワードを入力すると、トロイの木馬としての活動を開始するというトラップが仕掛けられていた事件。作者は意図的にこの機能を実装したことを認めている。 ソニーBMG rootkit事件 詳細は「ソニーBMG製CD XCP問題」を参照 ソニー・ミュージックエンタテインメント (米国)のCDに入っていた、著作権管理ソフトウェアXPCにマルウェアの一種ルートキットが組み込まれていた事件。アメリカでは訴訟騒動にもなった。 EAによるSecuROM問題 ビデオゲーム開発大手のエレクトロニック・アーツ社が自社製品とその体験版にSecuROM技術を組み込み、それを利用するパソコンにおいてインストール回数が3回までに制限されたり、製品と同時にインストールされたSecuROMソフトウェア自体の削除が不能になったり、ポータブルデバイスおよびリムーバブルデバイスへのアクセスが出来なくなったというもの。また、訴状によればSecuROMはコンピュータの基幹部分にインストールをされ、当該コンピュータ端末の動作を監視、一定状況下での動作を制限したりコンピュータの処理能力を乗っ取り情報をエレクトロニック・アーツ社に送信しているとしている。
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