技術と拳理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/10/09 00:07 UTC 版)
白鶴拳の拳法理論は、陰陽、三才、五行、八卦の四つの考えからなる。 陰陽は心身一体、攻防一体、内外一体といった拳法の理念。三才は形、功、法のことで、形は拳法の型。功は功夫(修練)、法は技法であり、この3つは相関を持って育っていくとする。五行は五行説に基づく概念で、白鶴拳の代表的技法である五行手に象徴される。五行手はそれぞれ、金形手、木形手、水形手、火形手、土形手といわれる五種類の基本型で、それぞれに攻防上の特性がある。 そして八卦は、攻守の理論である八誌(呑・吐、浮・沈 と 剛・柔、動・静)である。また、白鶴拳は女性のような歩き方をすることが知られており、開祖が女性であるという伝説の裏付けともされているが、姑娘歩の他に八字馬、丁字馬、側身馬、前弓後箭馬、立鶴馬などの様々な歩法がある。また寸力、いわゆる発勁による打法を基本とする。これを可能にするのが地根力という身法であり、接近戦での寸力を会得するため、足底から手先まで一瞬にして力が伝わるように、主に水形手、火形手を使い練習する。白鶴震身という白鶴拳独特の特殊な身法も存在する。白鶴震身と同様のものとして縦身・駿身・宗身大法などがある。 また鳴鶴派を例に取れば鶴の鳴く象意を取り入れた拳であるが、その名の由来は套路上で攻撃の威力を上げる為の内功を練る際の呼吸法(空手道で言うところの息吹)であり、呼吸の呼気の際の「コォ〜〜」、「クゥホォ〜〜」、「ヒュ〜〜」等の呼吸音が鶴の鳴き声に似ているためによるものである。呼吸法により腹部の気を運用し気功により内勁の強化・倍増を狙う。 套路(型)としては、角戦拳、三戦拳、中方、八歩連、二十八步などがある。手を主な武器とする拳法であるため、手や肘や肩を硬いものに打ち付けて鍛える三節六座といわれる練功法がある。さらに手で袋に詰めた砂鉄等を打つ鉄砂掌の訓練も伝わっている。 暗器(隠し武器)として掌寸棍(≒クボタン)、鉄拳掌などを用いる。 武器術として刀、剣、ヌンチャクと銭鏢という硬貨を武器として投擲する術がある。 戦闘時には五行手を駆使し緻密な手法を繰り出し、猛烈な勢いで敵を打つ拳である。台湾などでは公園での立会い試合で、白鶴拳相手に他派の著名な名手が負けてしまう話がよく聞かれるなど、試合時の強さで知られる名拳である。伝承者によっては、動作が大まかで低姿勢であり、ゆっくりと演武する人もある。白鶴の名ゆえか女性的な動きを思い浮かべられがちだが、実際は力強い拳風である。その他にもゆっくりと柔らかく型を練習する派もあり、また、共に柔らかくゆっくりと練習するため、親和性が高いとされる太極拳と弊習すると、とても効果が高いと一般に台湾などでは評されており弊習されている。
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