戦後政治への影響
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2012年12月、札幌市議会に、西田信春の虐殺事件をふまえた「治安維持法犠牲者国家賠償法(仮称)制定を求める意見書」(意見書案第6号)が民主党・市民連合、公明党、日本共産党、市民ネットワーク北海道各所属議員全員によって提出され、賛成多数により可決された。意見書可決を受け、市議会は意見書を衆議院議長・参議院議長・内閣総理大臣・総務大臣に提出した。 意見書案第6号「治安維持法犠牲者国家賠償法(仮称)」の制定を求める意見書 治安維持法犠牲者は、平和を願い人権尊重と主権在民を唱え、戦争に反対したために逮捕され、拷問による虐殺・獄死という多大な犠牲を受けた。 治安維持法が制定された1925年から廃止されるまでの20年間、作家小林多喜二をはじめ、学者・宗教者・文化人など、逮捕者は数十万人、送検された人75,681人、虐殺された人90人以上、拷問・虐待などによる獄死1,600人余り、実刑5,162人にのぼる(「治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟」調べ)。 戦後、治安維持法は、日本がポツダム宣言を受諾したことにより、政治的自由の弾圧と人道に対する悪法として廃止された。この法律によって処罰された人々は無罪とされたが、政府は謝罪も賠償もしていない。 ドイツでは、連邦補償法でナチス犠牲者に謝罪し賠償している。イタリアでも、国家賠償法で反ファシスト政治犯に終身年金を支給している。アメリカ・カナダでは、第二次世界大戦中に強制収容した日系市民に対して、1988年、市民的自由法を制定し、2万ドルないし2万1千ドル(約250万円)を支払い、大統領が謝罪している。韓国では、治安維持法犠牲者を愛国者として表彰し、犠牲者に年金を支給している。 1993年に開催された日本弁護士連合会の第36回人権擁護大会では、「治安維持法犠牲者は、日本の軍国主義に抵抗し、戦争に反対した者として、その行為は高く評価されなくてはならない」と指摘され、補償を求めている。 また、現在多くの地方議会において、「治安維持法犠牲者国家賠償法(仮称)」の制定を求める意見書が採択されている。 以上のような国内外の動きは、治安維持法犠牲者に対する謝罪と賠償の必要性・正当性を証明している。 よって、国会及び政府においては、同じ過ちを繰り返さない立場から、「治安維持法犠牲者国家賠償法(仮称)」を制定し、犠牲者に対して一日も早く謝罪と賠償を行うよう強く要望する。 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。 平成24年(2012年)12月13日 札幌市議会 (提出先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣 (提出者)民主党・市民連合、公明党、日本共産党及び市民ネットワーク北海道所属議員全員 — 「治安維持法犠牲者国家賠償法(仮称)」の制定を求める意見書、札幌市議会
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