情報流出と中国製部品の使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 06:07 UTC 版)
「F-35 (戦闘機)」の記事における「情報流出と中国製部品の使用」の解説
F-35は、中国のクラッカーにより2009年にアメリカ国防総省から、2012年にBAEシステムズから、設計情報や性能、電気系統、レーダーなどのデータが盗まれており、将来的に中国のJ-20などに対して制空能力の優位性が損なわれることが危惧されている。また、中国が開発中のJ-31は双発であることを除けば外見の形状がF-35に類似しており、盗まれたデータが開発に生かされた可能性がある。 2014年6月28日には、カナダ在住の中国人実業家ス・ビンがF-35、C-17、F-22の秘密情報を合衆国内の国防産業のコンピュータから盗もうとし逮捕された。 同年12月7日にはプラット・アンド・ホイットニーで働いていた中国人技師であるユー・ロンがF135エンジンの素材として使用されているチタン合金に関する情報を持ち出そうとした疑いで逮捕された。 2015年1月19日付の豪紙シドニー・モーニング・ヘラルド紙は、中央情報局(CIA)元職員のエドワード・スノーデン容疑者が、デア・シュピーゲルに提供した資料からF-35のレーダーやエンジンの図式、噴出ガスの冷却方法、リーディングとトレイルエッジ処理、AFTデッキヒーティングコンツアーマップといったステルス技術の基幹部分に及ぶ情報に加え、B-2や原子力潜水艦、F-22の軍事情報が2007年に中国からのハッキングにより盗まれていたことを報じた。 米国では軍需産業が中国などの外国の資材を使用することを規制しているが、2014年にF-35に中国製部品が使われていた事実が発覚した際は大きな問題となった。その後のアメリカ国防総省の調査でボーイングの爆撃機B-1やロッキード・マーティンの戦闘機F-16、レイセオンと日本が共同開発したスタンダードミサイルなどにも中国産材料の使用が判明した。アメリカ国防総省は軍需産業は中国が生産の過半数を占めるレアアース やプリント基板 など中国製品に過度に依存かつ中国からのハッキングに脆弱だと問題視しており、F-35の回路基板はユーロファイター タイフーン、F-16、AH-64 アパッチ の開発にも参加している中国資本が製造していたことは物議を醸した。 機体が墜落する事故が発生すると、機密保持の点から徹底した回収作業が行われる。2021年に青森県沖で墜落したF-35Aのエンジンや機体の一部は水深1500mの海底から、2022年に南シナ海で空母カール・ビンソンへの着艦に失敗したF-35Cの機体は水深3780メートルの海底からサルベージが行われた。
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