思想、社会事象の分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 02:16 UTC 版)
自身の思想的立場、科学哲学を「すべてが物語・仮説であると考える点で、自分はポパー主義者である。」としている。 文化や伝統、社会制度、言語、意識、心など人のあらゆる営みは脳という器官の構造に対応しているという「唯脳論」を提唱した。この論は、『現代思想』(青土社)の連載をもとに出版された『唯脳論』(青土社)にまとめられている。 靖国問題というのは、世の中ではあたかも政治的な駆け引きのように語られているが、「死んだからと言って別人になるわけではない」とする中国の文化と、「死んだら神様としてまつる」日本の文化という、文化の違い、共同体のルール(の違い)の問題が根底にあるのでは、という旨の指摘をしている。 日本、また世界の先進国の都市化を批判しており、美しく感じられる自然は人間の手入れによって保たれると述べている。 若かりし日に、全共闘の連中がやってきて養老に対して言い放った暴言や、やらかした学問に対する暴力のことは忘れておらず、自身の思想を深めるのに活かしてきた。研究室の助手をしていた頃、当時盛んだった全共闘運動の被害を受けた。研究室がゲバ棒を持ち覆面を被った学生達に押し入られ、「こんな一大事に研究なんかしている場合か」と非難されながら研究室を追い出された経験をして以来、「学問とは何か」「研究とは何か」「大学とは何か」といった問いに対して考え続けており、「私のなかで紛争は終わってない」と述べている[要ページ番号]。そのような過去の経緯もあって、かつて東大の全共闘議長であった山本義隆の『磁力と重力の発見』が第30回大佛次郎賞を受賞した際に、養老は当時、同賞の選考委員でありながら、著作への授賞に異存はないとしつつも、自らが全共闘運動から受けた影響(全共闘運動により研究室から暴力的に追い出された)などを理由に「(個人的な)背景を含めた選評は拒否するしかない」という強い調子の文章を発表して話題となった。
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