影響および派生作品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/27 20:36 UTC 版)
「三国志 (吉川英治)」の記事における「影響および派生作品」の解説
詳細は「三国志#日本における三国志の受容と流行」を参照 本作の影響力は非常に大きく、その後の作家が書く三国志小説も多かれ少なかれ、吉川作品を意識したものとなった。中国文学者の中には、吉川の『三国志』は変に日本人向けにアレンジした小説であると顔をしかめる向きもあったものの、その影響力および普及力は広く認められた。中国文学研究の泰斗吉川幸次郎は1962年に、『演義』ではなく正史『三国志』を元に「三国志実録」を発表、曹操の再評価をさらに高めていく。また1968年の柴田錬三郎による『柴錬三国志 英雄ここにあり』では、劉備に若い女性白芙蓉が従うなど吉川の影響が見られ、さらに本作よりも早く、諸葛亮が出師の表を上奏するまでで終了する(その後、柴田は続篇の『柴錬三国志 英雄生きるべきか死すべきか』で孔明死後の姜維中心の物語も書いている)。その後も正史『三国志』を元にした陳舜臣による『秘本三国志』(1977年)、北方謙三『三国志』(1996年)をはじめ、日本で刊行された三国志小説には諸葛孔明の死で物語を終焉するものが多い。 横山光輝による漫画『三国志』60巻は本作をベースとした作品である。横山は中学生の時に学校の図書館で本作を読み感銘を受け、また弟が大学受験の頃に本作を読んで面白かったとつぶやいたのがヒントとなり、『三国志』の連載を始めたという。冒頭部の芙蓉姫のエピソードなども本作からそのまま採られており、全体として「吉川三国志」の漫画化といえよう。単行本第1巻は1974年に潮出版社から出版され、一時中断を挟みながらも1986年に全60巻が完結した。大人向けとして書かれた本作に対して、子供に『三国志』の世界を伝える役割を果たし、日本の三国志ブームを加速させた。光栄(現コーエーテクモゲームス)から発売されたコンピュータゲーム『三國志シリーズ』もブームに貢献したが、シリーズ2作目の『三國志II』(1989年発売)では「芙蓉姫」や「かこうじゅん」の読みなど、本作の影響が見られる。また1982年から2年間放送されたNHK『人形劇 三国志』はストーリー的には本作の影響は少ないが、やはり諸葛孔明の死をもって物語を終える構成となっている。
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