平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について(25大綱)
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2013年(平成25年)12月17日に国家安全保障会議および第2次安倍内閣の閣議で決定され、旧大綱は同年度限りで廃止された。自由民主党にとり政権奪還後の最初となる大綱の改訂であり、従来のものと比べ大幅に変更が加えられている。 北朝鮮の最高指導者が金正恩に交代したことに伴う情勢変化、中華人民共和国による東シナ海と尖閣諸島周辺海域や南シナ海への海洋進出(2013年11月23日の中国の一方的な防空識別圏の拡大も含む)により日本周辺の国際情勢は急速に悪化しつつあった。ロシアも軍改革と近代化を推進し、活動を活発化させる傾向にあった。一方、東アジアにおいて大きなプレゼンスを維持していたアメリカ合衆国はアジア太平洋地域に重点を置くとしつつも、財政上の問題から地域配備部隊の再編成に着手していた。 技術面においても精密誘導兵器関連技術、無人化技術、ステルス技術、ナノテクノロジーなどは進歩し、かつ拡散する傾向にあった。 国内にあっては東日本大震災後の災害対策、都市に集中する人口・産業・情報基盤や、原子力発電所をはじめとする重要施設が多数存在することによる安全保障上の脆弱性を抱えていた。 これらの要素を踏まえ、25大綱では日本一国のみならず諸外国とともに軍事・非軍事分野を問わず連携・協調をより一層推進することにした。国際協調主義に基づく積極的平和主義の下で従来と異なるより積極的な安全保障体制を構え、積極的な国際平和活動を行い、平素からの高い質と量が伴う即応性と能力を整備しつつ更に日米同盟の強化を図ることにした。また、アジア太平洋地域に対しても積極的に安全保障協力を推進し、新たな枠組みによる多国間の相互連携を目指すこととした。国際協力体制については、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)、欧州安全保障協力機構(OSCE)ならびにイギリスおよびフランスをはじめとする欧州諸国との協力を一層強化すると明示された。 以上の目標を実現すべく動的防衛力に替わり「統合機動防衛力」が打ち出された。急激に変化しつつある日本の安全保障環境を背景に、25大綱では、近年削減傾向にあった陸上自衛隊の人員増が認められ、陸上防衛力の南西諸島方面での警戒および展開能力の向上を図り、監視体制を始めとする海上および航空防衛力を増強し、これらを有機的に活用するべく統合運用が一層推進されることになる。また、国内の防衛産業基盤の維持や国際共同での防衛装備の研究開発や調達などを念頭に入れつつ武器輸出三原則の見直しも検討される。
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