朝鮮労働党対外情報調査部
(対外情報調査部 から転送)
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朝鮮労働党対外情報調査部 | |
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各種表記 | |
チョソングル: | 조선로동당대외정보조사부 |
漢字: | 朝鮮勞働黨對外情報調査部 |
発音: | チョソンロドンタンテウェジャンボチョサブ |
日本語読み: | ちょうせんろうどうとうたいがいじょうほうちょうさぶ |
英語表記: | JoseonRodongdang DaeweJyeongboJosaBu |
朝鮮労働党対外情報調査部(ちょうせんろうどうとうじょうほうちょうさぶ)は、かつて存在した朝鮮民主主義人民共和国の朝鮮労働党に属する情報機関。過去に調査部、対外調査部と呼ばれ、通称は「35号室」であり、俗に他の党諜報機関とともに「三号庁舎」とも呼ばれた。2009年に党作戦部と軍総参謀部偵察局と統合して朝鮮人民軍偵察総局が発足したことにより、発展的に解消した[1][2]。
概要
朝鮮労働党対外情報調査部は、韓国以外の第3国における情報収集、第3国を経由した韓国内へのスパイの浸透を担当する機関であった。世界各国に対するスパイ活動、拉致、テロ行為を行っていた。また、拉致された日本人がいるとされる招待所を運営していた。招待所では、情報調査部に属する工作員が語学、主体思想などの教育と訓練を受けながら生活し、工作活動で海外へ派遣される日を待つとされていた。情報調査部はソウルオリンピック前に、大韓航空機爆破事件を起こしたとされる。実行犯の一人である金賢姫は調査部(当時)に所属していた[3]。また、韓国の映画監督申相玉・崔銀姫夫妻の拉致を担当したとも言われている[注釈 1]。
日本人拉致
政府認定拉致被害者のうち、横田めぐみ(1977年11月15日失踪)、田口八重子(1978年6月失踪)、地村保志・富貴恵夫妻(1978年7月7日失踪)、蓮池薫・祐木子夫妻(1978年7月31日失踪)、市川修一(1978年8月12日失踪)、増元るみ子(同日失踪)、曽我ひとみ(1978年8月12日失踪)、曽我ミヨシ(同日失踪)、原敕晁(1980年6月失踪)は対外情報調査部による拉致事案であると見られ,松本京子(1977年10月21日)についてもおそらく対外情報調査部による拉致被害者と推測される[5]
歴代部長
有名な工作員
脚注
注釈
出典
- ^ 北朝鮮、対韓国・海外工作機関を「偵察総局」に統合 聨合ニュース 2009年5月10日
- ^ 偵察総局内紛で金英徹降格 2012年11月19日
- ^ 金賢姫(1991)『金賢姫 いま、女として』上巻, p.162
- ^ a b 『横田めぐみは生きている』(2003)pp.174-176
- ^ 蓮池(2025)pp.30-32
- ^ 全富億(2002)p.215
- ^ 金賢姫(1991)『金賢姫 いま、女として』
- ^ 全富億(2002)p.147
参考文献
- 金賢姫 著、池田菊敏 訳『金賢姫全告白 いま、女として(上)』文藝春秋、1991年10月。ISBN 4-16-345640-6。
- 金賢姫 著、池田菊敏 訳『金賢姫全告白 いま、女として(下)』文藝春秋、1991年9月。 ISBN 4-16-345650-3。
- 全富億『北朝鮮のスパイ戦略』講談社〈講談社+α文庫〉、2002年10月。 ISBN 4-06-256679-6。
- 蓮池薫『日本人拉致』岩波書店〈岩波新書〉、2025年5月。 ISBN 978-4-00-432064-7。
- 『横田めぐみは生きている 安明進が暴いた日本人拉致の陰謀』講談社〈講談社MOOK〉、2003年4月。 ISBN 4-06-179395-0。
関連文献
- 安明進『北朝鮮拉致工作員』徳間書店〈徳間文庫〉、2000年3月。 ISBN 978-4198912857。
- 康明道『北朝鮮の最高機密』文藝春秋〈文春文庫〉、1998年11月。 ISBN 978-4167550165。
- 高沢皓司『宿命-「よど号」亡命者たちの秘密工作』新潮社〈新潮文庫〉、2000年8月。 ISBN 978-4101355313。
- 張龍雲『朝鮮総連工作員 「黒い蛇」の遺言状』小学館〈小学館文庫〉、1999年11月。 ISBN 4-09-403711-X。
- 李友情(作・漫画)・李英和(監修)『マンガ金正日入門 北朝鮮将軍様の真実』飛鳥新社、2003年7月。 ISBN 978-4870315754。
- 別冊宝島編集部 編『決定版! 北朝鮮ワールド』宝島社〈宝島社文庫〉、2004年1月。 ISBN 978-4796638166。
関連項目
外部リンク
- 拉致工作機関、金総書記が直接指揮 日本政府調査で判明 - 朝日新聞(200911.02)
- 朝鮮労働党対外情報調査部のページへのリンク