家城駅 - 伊勢奥津駅間について
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「名松線」の記事における「家城駅 - 伊勢奥津駅間について」の解説
JR東海は2009年10月29日、同月8日の台風18号による災害のため不通となり、松阪駅 - 家城駅間が復旧した15日以降も不通のままの家城駅 - 伊勢奥津駅間について当面はバス代行を続けると発表した。そのうえで、「名松線全区間の旅客輸送は引き続きJR東海が担うが、松阪 - 家城間は鉄道を維持したうえで、家城 - 伊勢奥津間はバスでの輸送に切り換える。運賃等は現在の考え方を維持する」とし、関係自治体等に説明すると発表した。理由について「仮に同区間を復旧したとしても、今後もより大きな自然災害が発生するおそれがあり、長期運休等でお客様に迷惑をかけるおそれが高いため」としている。当時の判断について、JR東海広報部は2016年の週刊誌の取材に対し「鉄道の安全を確保する前提となる治山治水対策(をJRが実施すること)は難しい」という前提の元に廃線提案を行ったとしている。代行バスは昼間の2往復が削減され、伊勢奥津行きが5本、家城行きが6本となっていた。 JR東海の廃止方針を受け、沿線である津市美杉町の自治会長らは10月30日、津市のJR東海三重支店を訪れ、存続を求める要望書を提出した。また、津市の松田直久市長は10月30日の定例記者会見でこの問題に触れ、早期に住民説明会を開いて意見を聞いたうえでJR東海に存続を求める要望書を提出する考えを明らかにした。これに基づき同市長は11月4日にJR東海本社と中部運輸局を訪れ、名松線を鉄道として全面復旧させるよう求める要望書を手渡した。これに対しJR東海の中村満専務東海鉄道事業本部長は沿線の山林荒廃等にも触れ「復旧しても再び災害は起こる」と従来の見解を繰り返したが、今後情報を共有した上で協議を進めることでは一致した。また、三重県の野呂昭彦知事は11月9日の記者会見でこの問題に触れ、来年度予算編成前に行う国への提言・要望の中で復旧を求める考えを示した。 JR東海の山田佳臣社長は2010年11月24日の定例記者会見において、名松線の現在の不通区間の復旧について自治体による協力などの要件を満たすことを条件に復旧させる考えを明らかにし、台風で被害を受けた線路周辺の山間部と河川部の修復とその後の維持管理に対し自治体が将来にわたって責任を持ち、「運行の安全性が確保される」ことを条件に挙げた。これを受けて、2011年5月20日、JR東海、津市、三重県の三者間で協定書が締結され、治水工事については津市が、治山工事は三重県が担当することにより復旧工事を行い、2016年度に全線で運転再開を目指すことが明らかになった。 その後、三重県・津市による治山・治水工事が順調に進んでいることから、JR東海も2013年5月30日より線路内の土砂撤去・盛土復旧・線路・電気設備の復旧に着手すると発表した。費用は発表時点で約4.6億円と見込まれている。 2015年12月18日、JR東海は2016年3月26日のダイヤ改正にあわせてこの区間の列車の運転を再開すると発表、2016年3月26日9時35分に伊勢奥津駅を松阪駅行きの一番列車キハ11形300番台2両編成(キハ11-305・キハ11-306)が出発し、運休から実に6年半ぶりの全線復旧となった。美杉地域では復旧を地域活性化につなげようと、住民団体がウォーキングツアーを主催し、津市が伊勢奥津駅から観光地を巡る無料バスを休日に運行した。
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