実用音楽とは? わかりやすく解説

実用音楽

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/29 06:24 UTC 版)

実用音楽(じつようおんがく、ドイツ語:Gebrauchsmusik)とは、音楽はそれ自身のために存在するのみならず、特定の目的のために存在するという、ドイツで発達した思想をいう。特定の目的とは政治集会や軍の式典、ダンスや無声映画の伴奏、学生の演奏など教育目的の演奏も含まれる。

実用音楽という考えが生み出された背景には音楽学の発達がある。19世紀後半から20世紀にかけて音楽学は主にドイツの学者たちによって近代的な学問へと発達し、伝記研究だけではなく、歴史上の音楽の社会的な位置づけや音楽と音楽家の社会的な関係など研究テーマが広がったことがある。それにより第一次世界大戦後のドイツでは音楽を、個人主義的かつロマン主義的な側面からとらえることよりも、現実的な社会や政治との関わりからとらえることに重きが置かれるようになった。

最初に「実用音楽」という語を使用したのは音楽学者のパウル・ネットルであるが、さらにハインリヒ・ベッセラーは聴衆が受け身になる絶対音楽に対して、実用音楽は参加型の芸術であるとして肯定的な意味合いを与えた。このように誰もがアクセスしやすい音楽という実用音楽の概念は商業音楽の発展につながり、1920年代のベルリンでのジャズやキャバレーソングの隆盛に大きな影響を与えた。

クラシック音楽の分野で実用音楽を提唱した人物としてパウル・ヒンデミットクルト・ヴァイルエルンスト・クルシェネクらがいる。

関連項目

参考文献

  • Stephen Hinton, 'gebrauchsmusik,'New Grove Dictionary of Music and Musicians Online, ed. L. Macy, accessed 10 June, 2005. http://www.grovemusic.com
  • Guido Salvetti. Historia de la música, 10. El siglo XX, primera parte. Madrid, 1986 (Turner Música) ISBN 84-7506-166-4

実用音楽

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 17:14 UTC 版)

武満徹」の記事における「実用音楽」の解説

武満多く映画音楽を手がけているが、それらの仕事の中で普段使い慣れない楽器音響技術などを実験試行する場としている。武満自身無類映画好きであることもよく知られ映画限らず演劇テレビ番組音楽も手がけた。 琵琶尺八組み合わせで彼は純音楽として代表作ノヴェンバー・ステップス』をはじめ『エクリプス(蝕)』、『秋』、三面琵琶のための『旅』などを書いているが、最初に琵琶用いた作品映画切腹』およびテレビNHK大河ドラマ)『源義経』であり、尺八映画暗殺』でプリペアド・ピアノテープ変調技術とともに用いた。さらに映画『怪談』監督小林正樹)では、琵琶尺八のほかに胡弓日本のもの)、三味線プリペアド・ピアノも、それぞれテープ変調とともに用いている。この『怪談』音楽は、ヤニス・クセナキステープ音楽として絶賛した。これらの作品録音において、琵琶鶴田錦史尺八横山勝也との共同作業繰り返した経験が、後の『ノヴェンバー・ステップスその他に繋がった。 2台のハープ微分音調律してそのずれを活かすという書法は、純音楽としては『ブライス』などに見られ、またハープ独奏としては『スタンザII』が挙げられるが、このため実験としては、映画沈黙』『美しさと哀しみと』『はなれ瞽女おりん』(すべて監督篠田正浩)などが挙げられる。『はなれ瞽女おりん』は後に演奏会用組曲2つのシネ・パストラル』としてもまとめている。 他にテレビ音楽としてはNHK歴史ドキュメンタリー番組未来への遺産」においてオンド・マルトノ用いていることも特筆される純音楽ではこの楽器用いなかった。 黒澤明とは、『どですかでん』で初めその音楽担当して以来の関係であったが、1985年の映画『乱』で黒澤対立し「これ以後あなたの作品関わるつもりはない」と言った武満黒澤マーラー風の音楽を求められたことに不満を述べている。 短編ドキュメンタリー映画『ホゼー・トレス』でのジャズ語法をはじめ、1960-70年代当時日本の歌謡曲語法など、武満自らが趣味として多く接した娯楽音楽の分野へのアプローチ試みたのも、これら映画音楽テレビ音楽である。 その他の娯楽音楽として、晩年それまで作曲した合唱曲映画音楽主題挿入歌などポピュラー音楽として再編し石川セリ歌ったポピュラーソングCDアルバム発表した。これについては武満死後武満葬儀席上黛敏郎思い出として披露した未発表の短い映画音楽用の旋律を基に、もう一枚リメイク・ヴァージョンアルバム出ている。森山良子小室等沢知恵らもこれらの歌をレパートリーとしている。

※この「実用音楽」の解説は、「武満徹」の解説の一部です。
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