変調技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 10:12 UTC 版)
「10ギガビット・イーサネット」の記事における「変調技術」の解説
10GBASE-Tでは、ツイストペアケーブル1組あたり2.5Gbpsの伝送速度を実現するため、以下の技術を利用している。 データ符号化: DSQ128による16値パルス振幅変調(PAM16) 誤り訂正: 低密度パリティ検査符号(LDPC) 電力均一化: トムリンソン-原島プリコーディング(Tomlinson-Harashima Precoding, THP) 全体として、以下の符号化手順でデータを送出する。 64ビットごとに1ビットのdata/ctrlヘッダを付加し、65ビットのブロックとする(64B/65B)。 50ブロックをまとめて、3250ビットのフレームとする。 さらにCRC8と補助ビット(Auxiliary bit)を付与し3259ビットのフレームとする。 3259ビットを1536ビットと1723ビットのブロックに分割する。 1723ビットのブロックにLDPC(2048, 1723)を適用し、エラー訂正符号325ビットを付与して2048ビットのブロックとする。 1536ビット(=512×3)のブロックから3ビットずつ、2048ビット(=512×4)のブロックから4ビットずつ取り出し、512個の7ビット値に分割する。 7ビット値から2個のPAM16シンボルを生成する(DSQ128)。 生成したPAM16シンボルを4レーンに256個(=512×2÷4)ずつ送出する。 (THPで電力均一化する。) 同様の方式は2.5GBASE-Tおよび5GBASE-Tで流用されている。 DSQ128は、802.3anタスクフォース(標準化作業部会)でブロードコム(当時)が開発提案した。1レーン2.5Gbpsの伝送速度の実現にあたり、3.125ビットの情報を持つシンボルを毎秒800メガシンボルの速度で伝送するとSNRやそれに伴う符号誤り率が最も改善することが判明した。そこで、4ビットを持つPAM16シンボルと約3.58ビットを持つPAM12が検討されたが、最終的にPAM16が採用されている。この方式では、7ビットを128状態(=27)のPAM16符号2シンボルに変換する。2シンボルのPAM16では本来256状態(=162)を表現できるが、このうち半分を不使用パターンとして切り捨てることにより3dBのSNR改善を達成している。この改善の仕組みを説明するために市松模様(checkerboard pattern)がよく使われるが、これがDouble SQuare (2つの正方形)を略した符号化名称となった由来である。 10GBASE-Tの通信速度10Gbpsは、符号化前の情報ビット(実際に転送したいデータ)に対するレートに基づく。DSQ128符号では、7ビットの伝送信号から2シンボルを生成して毎秒800メガシンボルで送付するため、ツイストペア1対あたり 800 M[symbol/s] × 7 [bit] ÷ 2 [symbol] = 2.8 G[bps] {\displaystyle 800{\mbox{M[symbol/s]}}\times 7{\mbox{[bit]}}\div 2{\mbox{[symbol]}}=2.8{\mbox{G[bps]}}} 、4対で11.2Gbpsの転送能力がある。この伝送信号は、元の情報ビット3200ビット(=64×50)にエラー訂正などを加えた3584ビット(=1536+2048)の一部であるため、伝送信号に含まれる情報ビットの割合は約89.3%(=3200/3584)の符号化効率となり、1対あたり 2.8 G[bps] × 3200 3584 = 2.5 G[bps] {\displaystyle 2.8{\mbox{G[bps]}}\times {\frac {3200}{3584}}=2.5{\mbox{G[bps]}}} 、4対で10Gbpsの転送能力となる。
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