ていき‐しゃくやけいやく【定期借家契約】
読み方:ていきしゃくやけいやく
契約で定めた賃貸期間が終了すると借家契約も終了し、借家人は退去しなければならないとする契約。原則として契約の更新はできず、再契約には貸し主・借家人双方の合意が必要。居住用建物だけでなく、営業用建物にも適用される。平成12年(2000)より導入。借地借家法第38条に基づく。→定期借地契約 →定期借家制度
ていき‐しゃっかけいやく〔‐シヤクカケイヤク〕【定期借家契約】
読み方:ていきしゃっかけいやく
⇒ていきしゃくやけいやく(定期借家契約)
定期借家契約
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 16:46 UTC 版)
同様に、定期借家契約(定期建物賃貸借)についての規定もある(38条)。ここでは、存続期間(1年未満でも20年を超える契約でもよいが、期間を定めないという方法は認められない)が終了すればそこで賃借権は完全に消滅し、契約を更新することはできない。 この契約は書面によって行う必要があり(38条は「公正証書による等」と規定しているが、必ずしも公正証書であることを要求したものではないと解されている)、その際に貸主は、期間満了時に契約を更新することができないことを記載した書面を渡して説明しなければならない。説明を怠った場合は、契約の更新がない旨の定めは無効となる。特約によって造作買取請求権を付加・排除することも可能であるし、期間中に賃料が不相応になれば特約がない限り賃料増減額請求権を行使することもできる。 宅地建物取引業者が38条による建物の賃貸借の媒介・代理を行う場合、その旨を重要事項説明として宅地建物取引士に説明させなければならない(宅地建物取引業法第35条、宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3)。 存続期間が1年以上である定期借家契約においては、賃貸人は期間満了の1年前から6か月前の間(通知期間)に賃借人に対して賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を賃借人に対抗できない。通知期間を経過した後に終了の旨の通知をした場合、その通知の日から6か月間はその終了を賃借人に対抗できない。 転勤、療養、親族の介護その他やむをえない事情により、居住の用に供する建物の賃貸借(床面積200平方メートル未満に限る)において建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から1か月を経過することによって終了する。 また、法令や契約によって一定期間が経過した後に取り壊される予定となっている建物を賃貸する場合にも、建物取り壊しと同時に賃貸借契約が終了し、更新することができないという契約形態をとることができる(39条)。この契約は取り壊すべき事由を記した書面によってしなければならない。 問題点 定期借家契約は、不動産とりわけショッピングセンター業界の強い要望により、2000年に法が改正されて新たに認められたものである。改正前は海外出張や介護のための一時不在などの理由で、家主が生活の本拠として自ら使用するために、帰国ないし帰宅時に簡単に明け渡してもらえるような契約が認められていたが、これを定期借家契約に改正したものである。定期借家でない一般の借家権であれば、契約の更新拒絶・解約の申入れにおいて正当の事由があることを要求されるが(第28条)、定期借家ではこれが不要である。 定期借家は、書面による説明と契約という要式を満たしていればよく、明渡しの理由の如何を問わず認められる。これによって家主が次々と新しい借家人に賃貸することができるようになり、今の時点の相場の家賃収入を得られるようになった。一般の借家契約では、更新料を取ったり家賃を値上げしたりしても、なかなか相場までの収入を得ることは難しかった。また一度物件を借主に貸すとなかなか返してもらえない(立ち退いてもらえない)可能性が高く、貸主が物件の賃貸に消極的になり、優良物件の流通を阻害していると考えられ、この新たな法により不動産賃貸市場に新たな物件を供給することが期待できると言われた。結果としては、国土交通省が2007年3月に行った調査によると民間の借家契約の5%がこの制度を利用している。 借地借家人の中には、経済的に弱い借家人を保護するための法律であった借地借家法の中に、わざわざ家賃収入の確保という家主を保護するための異質の制度を作ったもので、将来に大きな問題を残したとこの法を批判し、また期間の短い定期借家が貧困ビジネスとして利用されているとの主張もある。 旧法借家人の義務権利が逆説的に明らかとなり、個別事情を除けば旧法借家人の権利は維持もしくは強まっている。
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