大瀁用水

全国疏水名鑑

大瀁（おおぶけ）用水

顕聖寺頭首工 (保倉川から大瀁用水路への水の取入口）		疏水の概要
		■疏水の所在 上越市浦川原区顕聖寺より上越市頸城区川袋までの約10kmの農業用水路 ■所在地域の概要 本地区は新潟県南西部頸城平野の北部に位置し、関川の支流一級河川保倉川右岸に位置する耕地であり、その大半は水田を主体とする農業地域である。 ■疏水の概要・特徴 大瀁用水路開削は、新田開発の先駆として、正保元年〔1644年〕吉田藩への請願により許可を受け支線を含めて全長20㎞にも及ぶ長大な水路として建設された。保倉川を堰上げして取水し760haの新田と40ヶ村の集落が拓けた。その後も引き続き排水改良などの工事を進め、合計100ヶ村(現在の集落）と1,650haに及ぶ新田開発が成し遂げられた。 開発以来300余年間、大瀁用水路は、頭首工より受益地までの全区間が土水路で、途中上流6㎞は山裾を蛇行し河川横断のサイフォンもあり、また急峻な山裾を縫うように流下しているため、土砂崩れ等が多く維持管理に多大な労力と経費を費やし用水確保に辛酸をなめた。昭和22年に「県営大瀁村外2ケ村用排水改良事業」が着工となり、昭和44年まで事業が実施された。この事業の中で本用水路も両岸が護岸されて地区内の用水状況も大幅に改善された。 本地域のかんがい用水は、保倉川と渇水時期に備えての補給水源である大池溜、小池溜を利用しているが、絶対的な用水量が不足しており水田の汎用化が阻害されていた。このため生産基盤(汎用耕地の整備)の基本条件である用水施設の整備合理化を図るため、昭和57年より、平成6年にかけて「県営かんがい排水事業頸城地区」により改修を行い、従来からの用水機構及び用水量不足を解消し、農案経営の安定と近代化農業の基礎を確立した。