外国系日本人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 22:54 UTC 版)
古来より、朝鮮半島を含む大陸から渡ってきた渡来人や帰化人が存在した。ヤマト王権(朝廷)が日本列島の大部分を統治するようになった後は、各地の先住集団と外来の少数集団の同化が進み、日本人(大和民族)が形成された。大和民族は、歴史や人類学で使う呼称であり、法令では使われていない。反対に日本政府は、日本人の中にアイヌのみを別個の民族としており、かつて蝦夷地と呼ばれ日本の本土への統合の度合いが低かった日本北部の一部地域の先住民族と定めている(アイヌ施策推進法)。アイヌの人々は日本の一民族であるため外国系日本人には含まれない。 一方で、近現代の国籍法に定める帰化によって、様々な外国人が日本国籍を取得することができた。日本の帰化は、本人の志望と法務大臣の許可とを要する。明治の国籍法制定の時から昭和63年(1988年)までの帰化者の総数は20万人弱であり、平成元年(1989年)から令和3年(2021年)までの帰化者の総数は約40万人に上っている。もっとも、帰化者の生存・子孫ならびに混血の動向に関する統計が存在しないため、純然たる「外国系日本人」の現在の人数を推計することは困難である。 帰化に関する令和2年(2020年)の統計によると、同年末までに韓国・朝鮮籍から日本に帰化した累積者数は383,991人、中国・台湾からの帰化(中国籍からの帰化)は累計149,948人である。いっぽう、韓国・朝鮮・中国以外の籍からの帰化は、少数ながらも近年増加しつつある。2020年末現在のその累積者数は43,382人に上り、帰化前の国籍には、ブラジル、アメリカ、ロシア、モンゴル、ベトナム、フィリピン、ペルーなどがある。帰化者は元の国籍を離脱する原則があるため、通常であれば帰化者は日本国籍のみを有する日本人である。 また、アメリカ系日本人のような呼称は、帰化者に限らず海外ルーツの日本人を全般的に指すことがある。もっとも、これらの呼称は多義的であり、ルーツが(ハーフ等のとき、ルーツの一部が)海外にあるという属性のみを言う場合がある一方で、海外ルーツのない日本人との様々な隔たりを強調し、一般日本人と切り離されたマイノリティー集団への帰属が含意されている場合もある。しかし、それらの捉え方は各本人の民族的なアイデンティティーやナショナル・アイデンティティー、生活の実態などと合致していると限らないので、注意を要する呼称である。
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