国民保護法と屋内退避
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/15 09:28 UTC 版)
日本では、いわゆる有事法制の一つとして「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(以下、国民保護法)が制定されている。国民保護法では、重要影響事態の際に発生することが危惧される航空戦や上陸戦も含めた日本有事、もしくは「土台人」と呼ばれる地元協力者に手引きされた工作員やテロリストによる大規模テロ情報が当局に覚知されると、政府は全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じて、国民に対して屋内退避の指示を与えることになっている。 日本の危機管理政策は、シェルターを公共の場に普及させることを国策としている諸外国(スイス、イスラエル、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド)とは異なり、公共の場にシェルターを全く整備していない。また、今後も国としてシェルターを整備する計画はない。その代わり、日本政府および都道府県では、有事の際にはJアラートを通じて屋内退避を国民に指示し、しかる後に国民を比較的安全な他の地域へと避難させる「国民保護計画」を準備している。国民保護計画では、戦災で負傷したり家屋を武力攻撃で破壊された国民や在留外国人を医療機関や避難所等に収容する「国民保護措置」の実施が明記されている。ただし、弾道ミサイル等の大量破壊兵器がもたらすNBC災害に見舞われた地域や、都道府県警察や自衛隊が侵略主体と交戦中の地域においては、二次被害を防止する観点から国民保護措置を実施することは極めて難しく、国民は公共放送や防災行政無線の指示を留意しつつ、正当防衛・緊急避難に徹する必要がある。。当局は、かかる二次被害を防遏する目処をつけてから、国民保護措置を開始する。 国民保護法と屋内退避についての理解を深めるため、国民は、総務省と内閣官房が運営する「国民保護ポータルサイト」において都道府県が作成している「国民保護計画」や、「武力攻撃やテロから身を守るために」と題されたマニュアルを閲覧することができる。このマニュアルでは、屋内退避の実施にあたってはできるだけ窓のない一室を選び、戸締まりの実施、空調機器の停止や窓の目張りなどで放射性降下物等の有害な外気の侵入を阻むよう部屋を密封することが推奨されている。その他、日本の有事法制に関する解説や、医師の診察を受けられない状況下において、市民が負傷者に応急処置を行う際の要領も明示されている(外部リンク参照)。
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