同時代評価
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「少年 (谷崎潤一郎)」の記事における「同時代評価」の解説
谷崎は春陽堂版明治大正文学全集の解説で「「少年」は前期の作品のうちでは、一番キズのない、完成されたものであることを作者は信じる」と自ら言っているが、発表時の評価も悪くなかった。『帝国文学』『三田文学』『早稲田文学』『ホトトギス』『白樺』等の雑誌及び『読売新聞』『東京日日新聞』『國民新聞』の文芸時評で取り上げられた「少年」には「此作は本月の作物中最も優れた興味あるものゝ一である」(『三田文学』)「「少年」一篇は立派に六月の記念に残つた」(『東京日日新聞』)といったような好評価ばかりが寄せられたが、特に『白樺』の生田蝶介は「六月の文壇の新しい一事件と云はねばならぬ」と『國民新聞』では近松秋江が「六月の「スバル」に出た谷崎潤一郎氏の「少年」ぐらゐ巧妙な作はなかつた」と大絶賛だった。 このほか谷崎が聞いた噂によれば、上田敏や森鷗外も「麒麟」や「幇間」と併せ「少年」を褒めていたという。しかし、最も影響力のあった評価は永井荷風によるものだった。荷風はまず8月の三田文学に載せた短編「眠られぬ夜の対話」の中で登場人物の「男」に「もう私はとても、あの若い新進作家の書いた『少年』のやうな、強い力の籠った製作を仕上げる事ができないのだ」と嘆かせていたが、11月の「谷崎潤一郎氏の作品」においても谷崎文学を褒めながら「少年」に言及している。「『少年』の全篇は尽くこの肉体上の惨忍と恐怖とによつて作り上げられたものであるが、茲に注意すべきは谷崎氏の描き出す肉体上の惨忍は、如何に戦慄すべき事件をも、必ず最も美しい文章を以て美しい詩情の中に開展させてある」や「他人から受ける侮蔑が極度まで進んで来た場合には、却て一種痛切な娯楽慰安を感ぜしめるに至る病的の心理状態が、実に遺憾無く解剖されてゐる」といった分析をしていた。
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同時代評価
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正宗白鳥は『中央公論』において「聖人出づると雖も、一語を挿むこと能わざるべしと云った感に打たれた」と称賛した一方で「明日の日は、私もこういう文学を唾棄するかも知れない」と書いている。小林秀雄は「特に心を動かされたでもなし、深く考えさせられたのでもない」と、本作について消極的な見解を示した。川端康成は本作について「ただ嘆息するばかりの名作で、言葉がない」と評した。
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