同時代史としてのアルセーヌ・ルパン
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「アルセーヌ・ルパン」の記事における「同時代史としてのアルセーヌ・ルパン」の解説
過去の歴史的事件だけでなく、ルパン譚は当時起こった歴史的事件とも大きく関わっている。「アンベール夫人の金庫」は当時実際に起こった詐欺事件、「水晶の栓」では当時フランス政界で起こったパナマ運河疑獄事件がモチーフになっている。また、「813」「オルヌカン城の謎」「金三角」「三十棺桶島」「虎の牙」の一連の流れでは、当時の世界史上の一大事件であった第一次世界大戦が大きな舞台となっており、作中でルパンが征服しフランスに譲渡したモーリタニアは、この時期にフランスが獲得したアフリカにおける植民地の一つである。また、普仏戦争でドイツ領となっていたアルザス=ロレーヌ地方についてルパンが、第一次世界大戦の勝利によってフランスに戻ってくることを喜ぶ描写もある。 当時最先端の科学技術も現れるや否やすぐさま作品に登場する。第1話「ルパン逮捕される」で重要な役割を担った無線電信は当時実用化されたばかりの最新技術である。遠隔地への通信に電報や伝令を利用することが多いホームズに対し、ルパン作品では電話が頻繁に登場する。辻馬車を愛好するホームズに比べルパンは自動車やオートバイを愛用し(これはホームズとの若干の世代差も大きく影響している)、果ては潜水艦(「ハートの7」「奇岩城」「三十棺桶島」)や飛行機まで(「虎の牙」)積極的に利用する。いずれも登場作品の数年前に開発、もしくは実用化が成ったものである。また、キュリー夫妻のラジウム・放射能研究の成果(1903年ノーベル物理学賞受賞)も、作品に取り入れられている(三十棺桶島)。
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