双葉町の財政悪化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 23:17 UTC 版)
「福島第一原子力発電所7、8号機の増設計画の経緯」の記事における「双葉町の財政悪化」の解説
双葉町は岩本町政時に増設を当て込んで公共投資を積み重ねた。社会資本投資を積極的に実施していた頃、双葉町は町の将来像として「自然と科学と未来が共生するエネルギーポリスの創造」を掲げ、「誰もが住みたくなるような魅力あふれる町」づくりが基本理念であった。具体的には当時8000人余りであった人口を2010年に1万3000人に増加させることを想定し、この計画の実現のためにも増設は欠くことが出来ないような目標であった。 しかし、増設が期待通りのペースで進まなかった結果、歳出だけが増大し、実質公債比率が全国で13番目(2003~2005年度平均、2006年度は32.5%でピークを記録)というレベルまで財政が悪化した。このため同町は「電源立地等初期対策交付金(期間II)」(限度額は39.5億円で年間の限度額は9.8億円)を県の判断を待たずに単独申請し、町議会は2007年6月に凍結を解除した。これは、増設が進まない主な理由が上述したような不祥事による県の不同意にあり、国側は同交付金の交付期間を「環境影響評価の翌年度」から「環境影響評価書の縦覧期間満了の翌年度から10年間」に延長したが、それでも満額交付のタイムリミットが迫っていたためであり、結局リミットを過ぎての申請受理となり一部カットされた。 2006年に岩本に代わって町長となった井戸川克隆は2009年、町財政を立て直す過程で『エネルギーフォーラム』の取材を受けた。この時、財政悪化を主要因として「現時点では原発立地自治体の失敗事例といえるかもしれません。ただ、原発の存在は町にとって非常に心強いことも確かです。交付金の額は雇用などと違って景気に左右されませんし(中略)ほかの多くの自治体のように特別な雇用対策をする必要性が生じていません」「増設が今後決まっても(中略)長い目で見れば徐々に減額しいつかはなくなるものです。一時収入が増えたからといって、しっかりと計画性を持たなければまたすぐ財政は悪化してしまいます。今回と同じことを繰り返してはいけません。」などと述べている。 本発電所の正門、および正門に繋がるメーン道路は大熊町側に存在するが、7・8号機の敷地は上述のように双葉町側にあり、増設誘致の際、将来的に双葉町側にも門を設けることを想定し、双葉町は1880mの進入路を建設した。建設時の工事用道路としての役割や完成後の渋滞を見込んで4車線で建設されたが、2010年時点ではぺんぺん草に覆われ歩道は歩行も困難な程打ち捨てられていた。一方で、この進入路建設のため双葉町は30億円の事業費を投じ、町財政悪化の一因となっていた。 「福島の原子力発電所と地域社会#双葉町」も参照
※この「双葉町の財政悪化」の解説は、「福島第一原子力発電所7、8号機の増設計画の経緯」の解説の一部です。
「双葉町の財政悪化」を含む「福島第一原子力発電所7、8号機の増設計画の経緯」の記事については、「福島第一原子力発電所7、8号機の増設計画の経緯」の概要を参照ください。
- 双葉町の財政悪化のページへのリンク