印紙保険料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/05 03:42 UTC 版)
「日雇労働求職者給付金」の記事における「印紙保険料」の解説
印紙保険料とは、事業主が一般保険料のほかに、日雇労働被保険者に係る雇用保険料として納付するものである。 日雇労働被保険者は、事業主に使用されるたびに、その所持する日雇手帳を提出しなければならない。賃金の支払いを受ける都度、就労1日ごとに1枚の印紙の貼付または押捺を日雇手帳に受ける。これを事業主の側から見れば、日雇労働被保険者を使用するたびに、日雇手帳を提出させ、賃金を支払う都度(賃金が後払いの場合、印紙の貼付・消印を行う日は日雇労働被保険者を使用した日ではなく、現実の賃金支払日である)、日雇手帳に印紙の貼付・消印を行うことにより、印紙保険料を納付しなければならない。 雇用保険印紙は、支払われた賃金額に応じて1級から3級に分類される。負担割合は労使折半である。請負事業の一括により元請負人が事業主とされる場合であっても、元請ではなく下請が事業主として負担する。日雇労働被保険者が1日において2以上の事業所に使用される場合においては、初めにその者を使用する事業主が納付義務を負うこととされている。 第1級印紙保険料(日額) 176円 日給11,300円以上の場合 第2級印紙保険料(日額) 146円 日給8,200円以上11,300円未満の場合 第3級印紙保険料(日額) 96円 日給8,200円未満の場合 事業主は、雇用保険印紙を購入しようとするときは、あらかじめ雇用保険印紙購入通帳交付申請書を所轄公共職業安定所長に提出して、雇用保険印紙購入通帳(印紙通帳)の交付を受けたうえで、印紙通帳に綴じ込まれている購入申込書に必要事項を記入して、日本郵便株式会社の営業所(郵便の業務を行うものに限る)に提出しなければならない。印紙通帳の有効期間は、交付日の属する保険年度に限られ、通常毎年3月中に新年度の印紙通帳の交付を受けて有効期間を更新する。 雇用保険に係る保険関係が消滅したとき・日雇労働被保険者を使用しなくなったとき(あらかじめ所轄公共職業安定所長の確認が必要)、雇用保険印紙が変更されたとき(6月以内)は、事業主は雇用保険印紙の買い戻しを申し出ることができる。なお、事業主は、雇用保険印紙を譲渡し、又は譲り受けてはならない(罰則はない)。また事業主その他正当な権限を有する者を除いては、何人も消印を受けない雇用保険印紙を所持してはならない。 事業主は、日雇労働被保険者を使用した場合には、印紙保険料の納付に関する帳簿を備えて、毎月におけるその納付状況を記載し、かつ翌月末日までに当該納付状況を所轄公共職業安定所長を経由して所轄都道府県労働局歳入徴収官に報告しなければならない。印紙の受け払いのない月についても同様である。 事業主は、印紙保険料に係る事務を、労働保険事務組合に委託することは認められていない。したがって雇用保険に係る諸事務を一括して労働保険事務組合に委託している場合であっても、印紙の購入・貼付・消印は事業主が行わなければならない。 事業主が印紙保険料の納付を怠った場合には、政府(所轄都道府県労働局歳入徴収官に事務委任)は調査を行い、納付すべき印紙保険料の額を決定し(認定決定、徴収法第25条1項)、当該調査決定した日から20日以内の休日でない日を納期限と定め、納入告知書にて事業主に通知する。さらに、事業主に正当な理由がないと認められる場合には、決定された印紙保険料の25%に相当する額の追徴金(徴収法第25条2項、3項)を徴収する(計算した追徴金の額が1,000円未満の場合は徴収しない)。この場合、政府はその通知を発する日から起算して30日を経過した日を納期限をして、事業主に対し追徴金の額及び納期限について通知しなければならない。認定決定された印紙保険料・追徴金については、口座振替や印紙の貼付・消印による納付はできず、現金で直接日本銀行(本店、支店、代理店、歳入代理店)又は所轄都道府県労働局収入官吏に納付しなければならない。なお、「正当な理由」に、単に日雇労働被保険者が日雇手帳を提出しなかったことにより印紙の貼付・消印ができなかったという理由は含まれない。 事業主が印紙の貼付・消印を行わなかった場合、帳簿の未備え・虚偽記載・虚偽報告をした場合は、6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる。
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