半ボギー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/14 16:01 UTC 版)
加悦鉄道キハ101駆動輪部を機関側から。片ボギーの駆動輪は固定軸のため、プロペラシャフト揺動は原則、垂直方向のみで、シャフト覆いも固定式となる 同車駆動輪部を車端側から。軸箱守周囲は簡潔である 一方、2軸ボギー車の走行性能向上を狙って動軸を1軸の固定車軸とした事例には松井製作所製「半ボギー」式ガソリンカーを最初として、いくつものメーカーに採用例がある。 初期の2軸ボギー式内燃動車はどのメーカーでも2軸駆動を採用する車輛が多かった。最も多かったのはチェーン連動で1台車2軸駆動を行なう方式だったが、国産のチェーンの耐久性の不足による故障や騒音などの問題があった。その他、各台車の片方の軸を1個ないし2個のエンジンで駆動して2軸駆動とする方式や連結棒(ロッド)による1台車2軸駆動も試みられたが採用例は少数に止まり一般的な方法とはなっていない。また戦前の日本の内燃動車においてはシャフト式・ギア式の1台車2軸駆動の採用例は無い。 半ボギーは2軸駆動の問題点の解決策として考案され、2軸駆動を行なわずに同様の効果を得る事が出来た。 ただし図を描いてみると分かるが、ボギー台車を通常のボギー台車と同様にセンターピンを真ん中につけてしまうと、カーブ区間に入っても内側の車輪が邪魔になってボギー台車は回る(首を振る)事ができない。ただし、ボギー中心と一軸の間があいている場合はレールと車輪の隙間やばねのたわみなどの遊び分があるので、曲がる際に一軸側に負担がかかるものの一応実用になる範囲で、実物よりはるかに急なカーブを曲がる鉄道模型でも特に対策をしなくてもよいとされているが、一軸側を先頭にして走る場合は脱線しやすくなるため、前後の方向がある程度決まっている蒸気機関車や単端式気動車の場合はともかく、両方向に走れる気動車では単純構造の片ボギー車はそんなに安定しているわけではない。 この方策の採用の背景には、当時の日本で気動車用として調達可能なエンジンの出力が低かったことが理由のひとつとして挙げられる。また1両から2両程度の客貨車牽引を想定して計画・発注されたためにこの形態を採用した例も見られる。 その後出力の大きいエンジンの採用やそれによる車体重量の増加もありボギー車でも1軸駆動車が標準となったこと、また2軸ボギー式台車を1軸駆動の動力台車としつつ、動軸側に台車の重心をずらすことで動軸のトラクション確保を図る偏心台車が考案・実用化されたこともあり、前述の問題もあって片ボギー式を採用する例は激減した。
※この「半ボギー」の解説は、「片ボギー」の解説の一部です。
「半ボギー」を含む「片ボギー」の記事については、「片ボギー」の概要を参照ください。
- 半ボギーのページへのリンク