動物系蝋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/06 03:04 UTC 版)
バラムツ 蜜蝋(ビーズワックス) 蜜蝋はミツバチが巣を作る際、腹部腹板にある蝋腺という器官から分泌する蝋。ミツバチの巣の主成分で、これを加熱・融解して得られる。精製すると無臭になるが、精製前には蜂蜜のような甘い香りがする。絵具や化粧品、クリーム、蝋燭、石鹸の材料となる。融点は61-66℃。不飽和脂肪酸をほとんど含まない。ヨウ素価は5 - 13と狭義の蝋のなかでも最も低い。 主成分は、セロチン酸 CH3(CH2)24COOH と、パルミチン酸ミリシル。 鯨蝋 マッコウクジラの頭部にある鯨蝋器官内の脳油から、鯨油を分離した残りの無臭の固体蝋。捕鯨禁止までは蝋燭や化粧品の材料などとして用いられた。英語で“spermaceti”(クジラの精子)と呼ばれているのは脳油の外見からの誤解に由来する。代表的な液体蝋である。他の蝋と比べて、構成する蝋を構成する脂肪酸の分子量が小さく(鹸化価は118 - 135)、さらに不飽和脂肪酸の比率は最も低い(ヨウ素価は3.9 - 9.3)。凝固点は42 - 52℃。 主成分はパルミチン酸セチル CH3(CH2)14COO(CH2)15CH3 マッコウクジラ油 マッコウクジラ頭部に含まれる液体蝋。鯨蝋とは異なり、不飽和脂肪酸の比率が蝋としてはもっとも高い(ヨウ素価は71 - 86)。成分構成は他の蝋と比べ複雑である。オレイン酸、セチルアルコール、まっこう酸、パルミチン酸などを含む。 鯨蝋(ツチクジラ油) ツチクジラから取れる蝋。マッコウクジラ油とは異なり、固体蝋(凝固点-18度)である。脂肪酸の分子量はマッコウクジラ油以下で、鹸化価は200に達する。成分の構成はオレイルアルコールやセチルアルコールなど。 イボタ蝋 カイガラムシの一種・イボタロウムシ(イボタノキなどモクセイ科の樹木に寄生する)の雄幼虫がイボタノキの枝の周囲に群生して分泌した棒状の蝋塊より得られる蝋。固く融点が高い。木製品や生糸のつや出し、襖や障子の滑りをよくするためなど。掛軸や巻物の裏側にすり込んで巻き取りやすくしたり、微粉末として古いSPレコードの再生を助けるためにも用いられる。 羊毛蝋 羊毛の表面を覆う脂質に含まれる無臭の蝋成分。セリルアルコールやミリスチン酸からなる。凝固点は30-40℃。
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