動力源としてのフューザー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 01:54 UTC 版)
「フィロ・ファーンズワース フューザー」の記事における「動力源としてのフューザー」の解説
核融合反応は原理としてはエネルギーを発生するため、核融合エネルギーは動力化できる。重水素と三重水素は低いエネルギー反応で起きるが、このときでもイオンは最低で4,500万Kに相当する4keVを持たなければならない。このような温度下では、燃料原子はイオン化され、プラズマの性質になる。実用核融合発電所では、核融合反応は最初のエネルギー損失を補うのに十分な量のエネルギーが発生しないといけない。反応率は温度と燃料密度によって異なり、損失率はエネルギー閉じ込め時間τEに特徴付けられており、必要とされる最小状態はローソン基準(en:Lawson criterion)で表現される。磁場閉じ込め方式では磁場によって保たれた高温のプラズマによって要求される状態に到達させるが、これは研究によって非常に困難であることが証明されている。システムの応用の複雑さは実用発電機への設計の有用性を損なっている。 元来のフューザーは、いくつかの小さな粒子加速器を使ったもので、本質的には両端をなくしたブラウン管のような構造で、注入されたイオンは比較的低い電圧で真空の反応部に投入された。ヒルシュ形式のフューザーでは反応部でイオン化され薄められたガスによってイオンが生産される。この形式では大きさが異なる同心の球形の電極を持ち、内部のものは外部のものに対して負に帯電している。イオンは一度電極の間の範囲に入ると、中心部に加速される。フューザーではイオンは数keVの電極によって加速されるため、何らかの過程でエネルギーを失う前にイオン融合する限り加熱する必要はない。どんな基準でも4,500万Kはとても高温であるにもかかわらず、対応する電圧はたったの4kVで、この基準はネオンライトやテレビといった機構の中で一般的に見られるレベルである。イオンが初期エネルギーを維持しているのであれば、反応断面積のピークの利点を利用して、あるいは中性子の生産のような高エネルギー時に起こる不利な反応を避けて、エネルギーに転換することができる。 イオンエネルギー増大の容易さは陽子とホウ素11の核融合のような高温での核融合に特に有用と考えられている。この融合形式に必要となる燃料は豊富で、トリチウムを必要とせず、第一反応では中性子を発生させない。一方で、静電電位が十分なためイオンと電子の両方を同時に捕らえることができないため、電位電荷蓄積の範囲でなくてはならず、これは結果として達成可能な密度に上限をもたらす。相当する出力密度の上限や、さらにD-T燃料の仮定は、動力源としては小さすぎるとされる。
※この「動力源としてのフューザー」の解説は、「フィロ・ファーンズワース フューザー」の解説の一部です。
「動力源としてのフューザー」を含む「フィロ・ファーンズワース フューザー」の記事については、「フィロ・ファーンズワース フューザー」の概要を参照ください。
- 動力源としてのフューザーのページへのリンク