初動調査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/29 02:51 UTC 版)
「2009年ワシントンメトロ列車衝突事故」の記事における「初動調査」の解説
ワシントン首都圏交通局 (WMATA: Washington Metropolitan Area Transit Authority) のゼネラルマネージャーであるジョン・ケイトー (John Catoe) は、事故の原因は不明であるが「鉄道網は安全である」と述べた。国家運輸安全委員会 (NTSB) が調査を開始した。NTSBのデビー・ハースマン (Debbie Hersman) によれば、午後のラッシュの方向とは逆向きのワシントン方面に向かっている列車であったため、ラッシュ時の列車としてはあまり混雑していなかった。 事故調査官は、運転士のミスやブレーキの故障、コンピュータ化された信号システムの欠陥やこれら3つの組み合わせなど、事故の原因の可能性を調査している。ラッシュ時の運行では、列車は加速と減速を制御するコンピュータによって運行しており、いかなる衝突も自動的に防がれるはずであった。しかしながら、このシステムは少なくとも過去に1回衝突事故を防ぐことに失敗している。列車には事故が迫った際に運転士が掛けることのできる手動の非常ブレーキが備えられていた。そして関係者によれば手動でブレーキが掛けられていたとしている 。ブレーキシステムが故障していたか、あるいは運転士がブレーキを掛けたのが遅すぎた可能性がある。追突した列車の先頭車は定期ブレーキ検査の期限を2ヶ月過ぎていた。 6月22日の夜の記者会見でケイトーは、停車していた列車の最後尾の車両は2001年に営業を開始したCAF製5000系車両で、追突した列車の先頭車両はロー・インダストリー (Rohr) 製1000系車両であると述べた。1000系車両はワシントンメトロが最初に開業した1976年に運行を開始しており、1990年代にアンサルドブレーダで直流モーター制御から交流モーター制御に更新され、内装を改装されている。 2006年にNTSBは1000系車両は「破滅的なめり込み型の衝突事故に対して脆弱で、前後方向の衝突で旅客の生存スペースが完全に無くなってしまう」と述べていた。2004年にウッドリー・パーク・ズー/アダムス・モーガン駅 (Woodley Park–Zoo/Adams Morgan) で起きた1000系車両が他の車両にめり込んだ事故の後、NTSBは全ての1000系車両の改良を推奨していた。1000系車両には事故時に車両が乗り上げてめり込んでしまうのを防ぐアンチクライマーが装備されていたが、なぜこの装備が意図していた機能をこれまで発揮できずにいたのかは分かっていない。2006年のプレス発表で、NTSBは1000系車両の早急な運用終了を求め、あるいは6000系車両に匹敵する耐衝撃性衝突保護を備えるように早急に改造することを求めていた。これに加え、1000系車両は事故の際に原因を分析するために用いるデータレコーダーを備えていない。記者会見中、ケイトーは「1000系車両の使用を中断する現時点での根拠は無い」と述べた。WMATAは後に、追突した列車の全ての車両は1000系車両であると確認した。 6月24日、WMATAは調査が進展しても数週間から数ヶ月にわたって原因は究明できそうにないとするプレスリリースを発行した。 事故の24時間後、NTSBは、運転士が手動で非常ブレーキを作動させていたことを示唆する証拠を確認した。これに加えて、追突した列車は自動運転モードになっており、ソフトウェアが列車を停止させられるはずであった。
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