共和党指導部との対立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 14:26 UTC 版)
「ティーパーティー運動」の記事における「共和党指導部との対立」の解説
運動は共和党の支持基盤である右派を活発化させたが、同時に過激派、愛国主義、極右主義をも巻き込んでしまった。ティーパーティーが純粋な保守主義の主張を掲げて、押し広めれば広めるほど右翼的な主張も目立つことにもなるため、前述のような偏狭で排他的なアメリカの姿をも映し出すことになり、無党派層や共和党の穏健派までも遠ざける結果になるのではないかと危惧され、浮動票の取り込み戦略を阻害する可能性が指摘された。後述するが、オドネル候補やアングル候補の例がそれにあたり、極端な右傾化はアメリカの分裂を際だたせるだけで、反対勢力に逆に利をなす。また、ティーパーティーが共和党穏健派の候補をしばしば嫌悪するのも懸念材料だった。実際、共和党主流派が推薦する候補以外の候補をティーパーティーが支持して選挙で勝利したことがあり、これも後述するが、ペイリンの地元であるアラスカ州では予備選に敗れたマーカウスキー候補が第三候補として出馬し、共和党の票が割れた。 このような事態になる前から、共和党主流派は草の根保守との連合を模索してきた。しかし共和党全国委員会長マイケル・スティールがシカゴでのティーパーティー集会で発言する機会を求めて、拒絶されたという経緯があった。共和党実力者のミシシッピ州知事ヘイリー・バーバーなどは、WSJ紙上で反オバマという共通の目的でティーパーティーと共和党主流派は連合すべきだと訴えるなど、中間選挙を睨んで共和党は取り込みを図った。 しかし外交政策においては、海外展開の縮小や国防予算の大幅な圧縮を求めているという点において、リバタリアンは特異であり、その代表格であるロン・ポールは、フォーリン・ポリシー誌に寄稿して、共和党がティーパーティーを取り込んで利用しようとするだけで、ティーパーティーの主張には目を向けていない所を批判した。ポピュリスト右派(中間選挙時にはしばしば”サラ・ペイリンのティーパーティー”と揶揄される方)も、中道とのイデオロギー上の違い、既成政治への不信感から、独自路線を保とうとする団体が多かった。サラ・ペイリン本人は、まだ将来の大統領選への態度を表明していないためか、日和見的態度をとっており、彼らの指導者のように振る舞ってティーパーティーの支持をあてにしながらも、共和党主流派とも決定的な対立はせず、一部は協力をした。(後述)しかし共和党は、これほど実際には政策的違いがあるにも関わらず、差し引きではプラスと考えて、選挙重視の戦略で戦った。 このような事情のため、草の根運動であるティーパーティーは、保守層を結集して無党派層までも一部は取り込んで、中間選挙では勝利はしたが、新しく下院議長となった共和党のジョン・ベイナー議長は、難しい議会運営を強いられることになった。躍進したティーパーティー系議員の意見を議会に反映させねばならないが、極端に保守化してオバマ政権の妨害に終始すると、1996年〜1998年当時のギングリッチ議長の失敗を繰り返すことにもなりかねないからである。共和党は、穏健派と草の根保守とを融合を模索しているが、債務上限問題などではやはり造反が相次ぎ、軋轢が生まれた。
※この「共和党指導部との対立」の解説は、「ティーパーティー運動」の解説の一部です。
「共和党指導部との対立」を含む「ティーパーティー運動」の記事については、「ティーパーティー運動」の概要を参照ください。
- 共和党指導部との対立のページへのリンク