八釜の甌穴群 (愛媛県)
八釜の甌穴群
区分
特別天然記念物
所在地
愛媛県上浮穴郡柳谷村
資料一覧
解説
仁淀川水系面河川の支流黒川にある。八釜地域で,秩父帯チャートからなる岩盤上に多数の甌穴群が約80mにわたって分布する。甌穴は,流路にほぼ平行な4~5列の群にわけられる。中央部に並ぶ8個の甌穴(八釜)は最大径10mに達する巨大甌穴がほぼ等間隔でやや千鳥足状に並んだもの。甌穴を真上からみると,ほぼ真ん中にチャートの割れ目(節理)が通っており,甌穴が,こうしたチャートというきわめて硬い岩石の弱点をアタックすることによって発達したことが窺える。甌穴は上流川がえぐられており,内には甌穴を削った礫が入っている。洪水時に甌穴に入る水の入出路の窪みが見られる他,甌穴内を削ったらせん状の水流が残した模様もよく観察できる。このような多数の甌穴が集中的に形成されたのは,この付近のチャートに垂直性節理がよく発達しているためである,と考えられている。
八釜の甌穴群
名称: | 八釜の甌穴群 |
ふりがな: | やかまのおうけつぐん |
種別: | 特別天然記念物 |
種別2: | |
都道府県: | 愛媛県 |
市区町村: | 上浮穴郡久万高原町 |
管理団体: | 久万高原町(昭9・10・24) |
指定年月日: | 1934.05.01(昭和9.05.01) |
指定基準: | 地9 |
特別指定年月日: | 昭和27.03.29 |
追加指定年月日: | |
解説文: | 面河川ノ支流黒川ノ河床ヲナセル堅硬ナルフリンド質角岩ノ上ニ大小三十餘個ノ甌穴ヲ生シタルモノナリ甌穴群ハ大凡四群ニ分ツヘク第一群ハ川ノ左岸ニ沿フテ八個一列ヲナシ深キ溝ニヨリテ相連續シ各穴間ニ小瀑ヲ懸ク甌穴ハ其ノ瀑壷ニ當レリ是レ八釜ノ名ノ起リシ所以ナリ第二群河床ノ中央ニアリテ五個相連ナリ第三群ハ其ノ右ニアリテ七個相連ナリ第四群ハ最モ右岸ニ近ク三個相連ナル其ノ他孤立セル數個ノ甌穴アリ甌穴ノ最モ大ナルモノハ横徑九乃至十二メートル深サ約十二メートルナリカク多數ノ甌穴ガ相密接シテ一群ヲナセルハ極メテ稀ニ見ル所ナリ 面河川の支流黒川の河床をなす堅硬なるフリント貭角岩の上に大小三十余個の甌穴を生じたるものであり甌穴群は大小四群に分れ第一群は八個一列をなすため八釜の名がある。 甌穴群の代表的のものである。 |
特別天然記念物: | ライチョウ 上高地 八代のツルおよびその渡来地 八釜の甌穴群 内海のヤッコソウ発生地 加茂の大クス 古処山ツゲ原始林 |
八釜の甌穴群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/17 03:28 UTC 版)
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八釜の甌穴群(やかまのおうけつぐん)は、愛媛県上浮穴郡久万高原町柳井川にある甌穴。国の特別天然記念物指定[1]。四国カルスト県立自然公園の一部となっている。
概要
四国のほぼ中央、四国山地の山中に位置する。仁淀川(面河川[注釈 1])の支流の一つ、黒川の下流部、仁淀川との合流点の龍宮大橋付近から約2.7km上流。[2] 地理座標31'33.9"N 132°59'31.2"E
付近は典型的なV字渓谷で、両岸には断崖が続く。主流に連なる大小35個の甌穴が密接して一群となっている。その中でも大きいトンネル釜、獅子釜、メガネ釜など8個の甌穴を選び、その形が釜に似ていることから八釜の甌穴群と名付けられた[3]。甌穴の規模としても全国有数であり、1952年(昭和27年)に国の天然記念物指定された。
川幅25m、長さ65mの間に川床の硬質のフリント質角岩が渦龍によって形成された物で最も大きい物は直径9~12mもある[3]。
言い伝え
甌穴には「八釜の龍王さま」と呼ばれ、雨を呼ぶ大蛇が潜んでいるという言い伝えがある。(『柳谷村誌』第6編第6章第1節1自然伝説より、八釜の龍王さま [1])
アクセス
国道33号を久万高原町落出(おちで)で分岐し国道440号に入る。沿線に目印の案内板がある。道が広がっており、駐車のための区画線等はないが、乗用車なら複数台の駐車が可能。川に向かって徒歩で降りる。看板によると所要時間は行き(下り)20分、帰り(上り)30分とある。付近に久万高原町営バスの崎山停留所あり。
脚注
注釈
- ^ 仁淀川はその上流部、愛媛県側では面河川と呼ばれる。
出典
参考文献
- 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典38愛媛県』角川書店、1981年10月
関連項目
外部リンク
- 八釜の甌穴群のページへのリンク