修道院での慈善施設とは? わかりやすく解説

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修道院での慈善施設

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 19:57 UTC 版)

ビザンティン建築」の記事における「修道院での慈善施設」の解説

ローマ帝国では、公共業務都市の有力市民層によって運営されていたが、都市衰退とともに有力市民層も没落すると、それは教会によって維持されることになったキリスト教組織は、すでに国教化以前から積極的に慈善活動行っていたが、4世紀から5世紀になると、各地域主教慈善施設設立について重要な役割を果たすようになり、病院救貧院といった施設創設し、これを管理するようになった。これを受けて451年カルケドン公会議では、主教慈善施設運営責任を持つことが成文化され、さらに544年ユスティニアヌス帝発令した教会機関対す法令において、主教教会内部宿泊施設救済施設病院孤児院養老院といった施設設け、これらを維持するように計らう責任があることが明確に示された。さらに、慈善施設は、設置する基準としてその運営能力証明する必要性があったが、活動慈善目的限られており、これを逸脱するような場合主教運営介入する権限有することも記載されている。 しかし、このような制度形骸化し11世紀には私的な慈善施設対す主教権限剥奪された。どの時点から主教権限低下始まったのかは資料が少ないため不明瞭であるが、少なくとも9世紀には制度変節認められ中世東ローマ帝国時代になると、裕福層寄進によって設立され修道院慈善施設国家教会権力から独立した事業として認識されている。皇帝私的に設立した修道院ですら、皇帝自身私有財産と見なされ、必要な収入確保できるように資産管理が行われていた。皇帝ロマノス1世レカペノス設立したミュレレオン修道院病院施設付随)やヨハネス2世コムネノス設立したパントクラトール修道院病院施設養老院浴場付随)がその代表的な例である。 パントクラトール修道院1118年から1124年にかけてヨハネス2世コムネノスによって建設され南側パントクラトール聖堂と、1136年以前コムネノス家墓所として建設され中央部のアギオス・ミハイル聖堂、そして北側のエウレーサ聖堂3つの聖堂からなるが、これに今日では残っていないコンスタンティノポリス病人収容する病院(パントクラトール・クセノン)と養老施設(ゲロコミオン)が付属した複合建築物であった。パントクラトール・クセノンは規模大きく、またその運営記した規律書(ティピコン)』や当時歴史家ニケタス・コニアテス著作によってその実態を推測することができる。パントクラトール病院は、外科的治療、眼・腸などの疾患治療女性患者の治療その他の5部門分かれ専門医師助手補助員、女性スタッフらが常駐する入院患者のために合計50床のベッド用意され院内には暖房用の暖炉男性用に2つ女性用1つ設けられるトイレ男性用、女性用それぞれ1か所あり、夜間でも明かりが灯されていた。治療には入浴重要視されていたため、浴室設置されていた。主聖堂とは別に患者のために男性用と女性用教会堂それぞれ設立されていた。おもに貧困層対象とはいえ極貧の者は対象ではなく、必ずしもすべての患者貧困層というわけでもなかったが)にした医療機関であるが、かなりの運営費用割り当てられており、また今日病院匹敵するほどの高度な組織的運営が行われていたとする研究もある。

※この「修道院での慈善施設」の解説は、「ビザンティン建築」の解説の一部です。
「修道院での慈善施設」を含む「ビザンティン建築」の記事については、「ビザンティン建築」の概要を参照ください。

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