保護継電器の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 02:28 UTC 版)
過電流継電器 (OCR) 一定値以上の電流が流れたときに動作する。時限要素と言われる過電流の検出、瞬時要素と言われる短絡電流の検出の2要素がある。 地絡過電流継電器 (OCGR、GR) 一定値以上の地絡電流(零相電流)が流れたときに動作する。地絡事故の検出、零相電流は、零相変流器 (ZCT) で検出する。誤動作が懸念されるためケーブルのこう長が長い場合など対地静電容量が大きい電路では地絡方向継電器 (DGR) を用いることが望ましい。 過電圧継電器 (OVR) 予定値を超える電圧が回路に加わった場合に動作する継電器で、発電機の故障等による過電圧から機器を保護する。特に電圧にシビアな需要家では買電回路にも用いられることがある。 不足電圧継電器 (UVR) 電路の電圧が予定値以下に低下した場合に動作する継電器で、停電や負荷の短絡等に伴う電圧低下の警報用、予備発電機の起動指令に使用される。 地絡過電圧継電器 (OVGR) 配電線の地絡事故時に発生する零相電圧を検出して動作する継電器である。零相電圧は、電気事業者の送配電線路や特別高圧で受電する需要家の場合は、接地形計器用変圧器(EVT)の三次側をブロークンデルタ接続した回路により、高圧で受電する需要家はコンデンサ形零相電圧検出装置(ZPD)による接地コンデンサの分圧回路により検出される。OVGRは、単体で使用されることはまれであり、DGRと組み合わせて使用される。 差動継電器 (DFR) 保護区間に出入りする電流のベクトル差が予定値を超えた場合に動作するものである。正常時には、保護区間の外部の事故では、CTの二次側電流 I1 、 I2 は平衡し、動作することはないが、内部事故発生時は平衡が崩れ、 I1 - I2 の差電流が流れて動作に至る。 比率差動継電器 (RDFR) 差動継電器では、CTの飽和特性により、誤差電流が流れると誤動作の原因となる。そこで、差動回路部分に動作コイルと抑制コイルを設け、動作コイルの電流と抑制コイルの電流の比が予定値を超えた場合に動作する。差動、比率継電器は変圧器、発電機、母線の保護に用いられる。 地絡方向継電器 (DGR) 零相電圧と零相電流とで地絡方向を判定し動作する。複数のフィーダを有する配電用変電所に設置されるDGRの場合、零相電流はZCTの二次側電流によって検出され、零相電圧は、接地形計器用変圧器で検出し、その位相関係から地絡配電線を選択遮断するものである。 短絡方向継電器 (DSR) 線間電圧と相電流との組み合せで短絡位置の方向を判定する。過電流継電器では検出が困難なループ系統や両側に電源を有する系統で、故障区間を選択して動作する継電器である。 距離継電器 (DR) 距離継電器は電圧および電流を入力量とし、電圧と電流の比の関数が所定値以下となったとき動作する。この比は、継電器のみるインピーダンスと呼ばれ、インピーダンスは送電線の距離の電気的尺度であるので、距離継電器と呼ばれる。 逆電力継電器 (RPR) 電力の供給方向を検出し、受電と送電が逆になった際に動作する。自家消費するためだけの発電機を有する施設から、外部へ電力が送られた場合に検出して回路から切り離して保護するといった役割でよく用いられる。 不足周波数継電器 (UFR) 商用周波数(50/60Hz)より低下した際に動作する。主に発電機回路に使用される。 過周波数継電器 (OFR) 商用周波数(50/60Hz)を超えた際に動作する。主に発電機回路に使用されている。
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