保護標章
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 16:09 UTC 版)
日本陸上自衛隊野戦用救急車 オーストリアの救急車(赤十字社が保有) 米海軍病院船「マーシー」 日本の西南戦争。右から2番目の兵の背嚢に赤十字が入っている(1877年) 赤十字及び赤新月の標章(類似のものを含む)は、「戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する1949年8月12日のジュネーブ条約」(ジュネーブ諸条約の第一条約。傷病者保護条約)第44条により赤十字社・赤新月社と「軍隊およびこれに準ずる組織の医療・衛生部隊の人員・施設資機材」、さらにはジュネーヴ諸条約第一追加議定書(1977年)第8条により、(軍民を問わない)「医療組織、医療用輸送手段、医療要員、医療機器、医療用品、宗教要員、宗教上の器具及び宗教上の用品の保護」のために用いられる。これは、赤十字・赤新月の関係者・施設資機材は、人道上、戦地・紛争地でのあらゆる攻撃から無条件で保護されねばならない存在だからである。単に医療施設を表すのではないことが厳格に規定されている。ただし、各国赤十字社・赤新月社から許可を受けた上での、救急車や救護所での平時の使用は例外的に認められている(第1条約第44条第4項)。 日本国内においては、「赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律」によって、第1条に規定された赤十字、赤新月、赤のライオン及び太陽の標章及び名称の使用は、日本赤十字社(第2条)及びその許可を受けた者(第3条)のみに制限されており、みだりに使用した場合は懲役または罰金刑に処される(第4条)。(公記号偽造罪・公記号不正使用罪が適用されることもある)しかし、一般の病院、薬局、テレビ番組、広告などでの誤った使用が後を絶たないことから、日本赤十字社では誤用しないように呼び掛けている。ただし、平成14年図式地図記号では、病院を示す記号にホームベース型をした五角形の中に十字が入る記号が制定されており、保健所を示す記号に円形の中に十字が入る記号が制定されている。由来は病院が旧陸軍の衛生隊のマークで、病院の記号を元に変更されたものが保健所とされている。医療や福祉関連以外では、キックボクサーの羅紗陀が、2005年のデビューから2009年までのリングネームに「赤十字竜」(あかじゅうじりょう)を名乗っていたため、日本赤十字社からの抗議を受けリングネームを改称している。 なお、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第157条第2項では、武力攻撃事態等においては、指定行政機関の長又は都道府県知事が、医療機関や医療関係者に赤十字標章等を使用させることができるとされている。 また、商標法第4条第1項第4号においては、赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律第1条の標章及び名称については、商標登録を受けることができないとされている。
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