作曲家とリブレット作者の関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 17:02 UTC 版)
「リブレット (音楽)」の記事における「作曲家とリブレット作者の関係」の解説
台本・歌詞は常に音楽の前に書かれるわけではない。たとえば、グリンカ、セローフ、リムスキー=コルサコフ、プッチーニ、マスカーニといった作曲家たちはまず歌詞のない楽節を書き、後から台本作家たちが歌の旋律に詞をあてはめた(これは20世紀アメリカのポピュラー音楽でも行われていて、たとえばリチャード・ロジャースとローレンツ・ハートのコンビであるロジャース&ハートがそうだった。しかし、後にロジャースがオスカー・ハマースタイン2世と組んだ時(ロジャース&ハマースタイン)は詞が先に書かれるのが普通だった)。 作曲家の中には自分で台本を書く者もいた。その中でも有名なのが、ドイツの伝説や歴史を元に、叙事詩的主題としたオペラ・楽劇の台本を書いたリヒャルト・ワーグナーである。アルベルト・ロルツィングやアルノルト・シェーンベルクらも同様である。またアルバン・ベルクもゲオルク・ビュヒナーの戯曲『ヴォイツェック』を元にオペラ『ヴォツェック』の台本やフランク・ヴェーデキント原作の『ルル』を自分で書いた。 時には作曲家と共同に近い形で台本が書かれることもある。リムスキー=コルサコフと台本作家ウラジーミル・ベルスキーの関係がそうである。ミュージカルでは、音楽(music)、歌詞(lyrics)、台詞やト書きといった脚本(book)をそれぞれ別の作家が書くこともありうる。たとえば『屋根の上のバイオリン弾き』は、作曲ジェリー・ボック(英語版)、作詞シェルダン・ハーニック(英語版)、脚本ジョゼフ・スタイン(英語版)に分担されている。またリヒャルト・シュトラウスの最後のオペラ『カプリッチョ』は指揮者クレメンス・クラウスとの共同作業であった。 台本を作る過程での他の問題は、舞台や映画の台詞劇と同じである。まず、テーマの選択や提案の段階があり、それからシナリオの形式で本筋の草案が練られる。ブロードウェイ・ミュージカルでは試験興業を行うなどして、必要ならば改訂し、また、上演場所の観客に合わせた変更も行われる。後者の例では、たとえばワーグナー『タンホイザー』のオリジナル版(ドレスデン版、1845年)がパリ上演の時に改訂(パリ版、1861年)された。
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