佐多岬ロードパークとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 佐多岬ロードパークの意味・解説 

佐多岬ロードパーク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/24 07:21 UTC 版)

町道
南大隅町道佐多岬公園線
佐多岬ロードパーク
路線延長 8.2km
制定年 1958年10月(私有道路許可)
1964年5月2日(一般有料道路認可)
2007年4月26日(町道化)
開通年 1963年7月29日
起点 鹿児島県肝属郡南大隅町佐多馬籠
(県道68号交点)
終点 鹿児島県肝属郡南大隅町佐多馬籠
佐多岬
接続する
主な道路
記法
鹿児島県道68号鹿屋吾平佐多線
鹿児島県道566号佐多岬公園線
テンプレート(ノート 使い方) PJ道路
佐多岬ロードパークの第1料金所、既に放棄されており料金徴収を行っていない、写真左側の道路が県道566号佐多岬公園線

佐多岬ロードパーク(さたみさきロードパーク)は、鹿児島県南大隅町大泊から、九州本土最南端となる佐多岬までを結ぶ道路の愛称である。

かつては岩崎グループ鹿児島交通が運営する有料道路一般自動車道)であったが、2007年(平成19年)と2012年(平成24年)の2回に渡る南大隅町への譲渡により、全区間が町道として無料通行できるようになっている。無料開放後は正式には町道佐多岬公園線となっているが、佐多岬ロードパークを愛称としている[1]

途中まで鹿児島県道566号佐多岬公園線が並行しているが、佐多岬ロードパークへ合流しており、佐多岬まではこの道路を使わなければたどり着けない。

歴史

鹿児島県を中心にさまざまな事業を展開しているいわさきグループが、佐多岬周辺の観光開発を目的として建設した道路である。1957年(昭和32年)11月に、桜島における有料道路と並んで同時に出願したが、桜島の有料道路は後に取り下げられ、佐多岬ロードパークのみ着工した。

当時、起点となる大泊までは自動車の通れる道路がまだなく、工事に用いるブルドーザー軽油燃料の輸送には苦心し、海上を船で運搬する策を採っている。またこのために1958年(昭和33年)10月に私有道路の許可を受けた際には、ほかの自動車通行可能道路と接続されていない有料道路を認可することができないとの理由で、岩崎グループが大隅半島で運営していたバス会社である三州自動車(南薩鉄道と1964年(昭和39年)に合併して鹿児島交通となる)の専用道路としての認可であった。

錦江湾観光開発株式会社により7年の歳月と総工費5億7000万円を費やして建設し、1963年(昭和38年)7月29日に開通した。この際に県道も大泊まで開通して道路網と接続されたことから認可変更の申請を行って、1964年(昭和39年)5月2日に一般有料道路となった[2][3][4]。佐多岬へ通じる観光道路としてだけではなく、途中にある田尻集落にとっての生活道路としての役割もあり、建設に際しては集落の共有地を提供するなどの協力が行われた[5]

1973年に通行量がピークとなり、年間6万台の自動車が通行した[6]。しかしその後減少に転じ、2005年には年間2万台まで減少していた[6]。これにより路面補修等の作業も滞るようになった[6]。2004年頃から岩崎グループでは道路の休止を検討し始め、実際に運輸局に2004年5月10日からの1年間の休止を申請した[7]。観光振興と生活道路の維持の観点から、地元の町との協議が行われ、当面岩崎グループによる運営を続けるほか、町が別途取得した県有地など合計1万平方メートルの土地との無償交換により、南大隅町に道路を移管する方針となった[8]

2007年4月26日から、第1料金所から第2料金所までの約6 kmの区間が地元の南大隅町へ譲渡され、無料で通行できる町道となった。その後も第2料金所より先の約2.2 kmの区間については岩崎側が管理していたが、霧島錦江湾国立公園の中であり開発規制が厳しいことや、観光施設の改善に多額の経費が必要となることから、今後投資する計画はなく、一帯を行政側に委譲したい意向を示していた[9]

2012年10月、南大隅町が5億2560万円で残る全区間を購入することが明らかになった。町が購入するのは入園券売り場(旧第二料金所)から公園入り口までで、遊歩道などその他の施設は併せて無償譲渡されることになった[10]。使用されていない公園内のレストハウス跡や展望台は解体し、県が新たに整備する計画を出している[11]。2012年10月30日に譲渡が行われ、全区間が南大隅町の町道となった[12]。後に2007年に解放された区間を県道566号とし、並行する旧県道は町道佐多岬公園線として入れ換えられた。

道路概要

ロードパーク内の景色

南大隅町大泊付近を起点としており、ここに第1料金所が存在していたが、町道への移管後に撤去されている。全長は約9 kmある。道路はおおむね2車線が整備されているが、途中にある岩崎トンネルは1車線で対向車を待機する必要がある。観光船「さたでい号」の発着地や海水浴場のある田尻集落付近を通過すると、佐多岬展望公園の入口となる第2料金所があった。その先に北緯31度線を示す標識が立てられている。

終点の駐車場からはさらに佐多岬の展望台まで約800 メートルを徒歩で移動する必要がある。駐車場からは徒歩で第二岩崎トンネルを通っていく経路になっている。

料金

2007年に町に道路を移管して無料化するまでは、普通車の往復通行料は1,000円、遊歩道から先の入園料は大人100円、子供50円であった[6]。それ以降は、佐多岬展望公園への入園料が大人300円、子供150円、展望台利用料金200円(小学3年生未満無料)で、2010年8月5日に料金改定され大人500円、子供250円で展望台利用料金は無料となった。入園時間は8時-17時となっており、料金は第2料金所の位置で支払うことになっていた[13]。2012年10月30日の町への完全移管後は無料となっている[1]

南大隅町(旧・佐多町)側が2005年頃から佐多岬に到着したことを示す証明書(税込220円)を発行している。遊歩道内の売店、または南大隅町佐多支所、田尻集落のさたでい号発着所でも入手可能。

脚注

  1. ^ a b 鹿児島県南大隅町 - 佐多岬”. 南大隅町. 2015年8月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年12月9日閲覧。
  2. ^ 『岩崎與八郎伝』pp.137 - 142
  3. ^ 岩崎グループについて 岩崎グループの歴史”. 岩崎産業. 2010年8月30日閲覧。
  4. ^ 『佐多岬』p.99
  5. ^ 「町長、善後策を要請、営業は踏面継続、佐多岬ロードパーク/鹿児島」朝日新聞鹿児島版 2004年2月28日31面
  6. ^ a b c d 「佐多岬ロードパーク線、南大隅町が無料化、一部譲渡に伴い/鹿児島県」朝日新聞鹿児島版2007年4月28日30面
  7. ^ 「休止許可申請を運輸局に提出、佐多岬ロードパーク/鹿児島」朝日新聞鹿児島版2004年3月10日31面
  8. ^ 「引き続き通行可、一部を町管理へ、佐多岬ロードパーク/鹿児島」朝日新聞鹿児島版2005年3月31日35面
  9. ^ 「いわさき「佐多岬 今後投資せず」県などと4者会合」南日本新聞2008年10月15日
  10. ^ 「佐多岬道、南大隅町が購入へ/5億円で岩崎側から、来月から入園を無料化」南日本新聞2012年10月3日朝刊
  11. ^ 「佐多岬道買収/景勝地の整備を急ごう」南日本新聞2012年10月4日朝刊
  12. ^ 「佐多岬道が無料開通/南大隅町」南日本新聞2012年10月31日朝刊
  13. ^ 鹿児島県南大隅町 - 佐多岬”. 南大隅町. 2011年6月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年12月9日閲覧。

参考文献

  • 野田千尋『佐多岬』(増補新版)渕上印刷、1976年、pp.98 - 101頁。 
  • 末永勝介『岩崎與八郎伝』(初版)岩崎グループ、1995年6月30日。 

関連項目

外部リンク


佐多岬ロードパーク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 06:46 UTC 版)

佐多岬」の記事における「佐多岬ロードパーク」の解説

詳細は「佐多岬ロードパーク」を参照 1963年昭和38年)に岬の近くまで、地元岩崎グループ道路建設し1964年昭和39年)から佐多岬ロードパークとして有料道路一般自動車道)として供用開始された。これにより観光開発が進むことになった。しかし佐多岬ロードパークの通行量1973年昭和48年)をピークとして減少するようになり、岩崎側は経営難理由2003年平成15年)に道路休止打ち出した。これに対して重要な観光資源であるとして地元側が休業延期要請し2007年平成19年4月26日地元南大隅町道路譲渡され無料町道となり、人や自転車なども通行可能となったその後も佐多岬ロードパークの第二料金所より先の区間については引き続き岩崎側が管理し公園入口入場料徴収していた。しかし、展望台などの施設老朽化進行しており、国立公園内であり規制多くて採算合わないとして「今後投資意向はない」と明言して一帯行政移譲した考え示していた。その後の交渉結果南大隅町が5億2560万円投じて第二料金所から公園入口までの約67000平方メートル道路岩崎から購入し、これ以外の園内遊歩道などは無償譲渡されることになった。こうして2012年平成24年10月30日に佐多岬ロードパークが完全に町道移管され、佐多岬展望公園への入場無料化された。その後老朽化した展望台レストハウス撤去工事2012年12月3日から始まり2013年5月31日までに完全に撤去された。2018年平成30年1月16日から、新しい鉄コンクリート平屋建て165平方メートル展望台使用開始され屋上から景色眺めることができるようになった

※この「佐多岬ロードパーク」の解説は、「佐多岬」の解説の一部です。
「佐多岬ロードパーク」を含む「佐多岬」の記事については、「佐多岬」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「佐多岬ロードパーク」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「佐多岬ロードパーク」の関連用語

佐多岬ロードパークのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



佐多岬ロードパークのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの佐多岬ロードパーク (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの佐多岬 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS