代表的出版物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/23 07:33 UTC 版)
代表的出版物としては、明治18年(1885年)刊行の同社編『世界旅行万国名所図絵』、明治21年(1888年)刊行の上田維暁『内国旅行日本名所図絵』が出版社としての地位を確固たるものとした。『世界旅行万国名所図絵』は7巻あり、本文は文字も挿絵もすべて洋紙銅板摺で、針金を使った袋とじにされている。当時の擬似洋装本を踏襲した作りであるが、これほどまでに緻密な銅版画を全冊にちりばめ、きらびやかな造本は類を見ない。銅版画家には中井利山、長瀬盛松がいた。その内容は東京・横浜へ寄り米国に渡り、世界一周の後中国を経て神戸・大阪に帰帆する旅に書店主自らが誘う趣向である。『内国旅行日本名所図絵』7巻を引き続き刊行。細密な銅版挿絵は変わらぬ出来栄えであった。決して高値ではなく、一冊一冊手作りの美本が広く流布した事は出版史に残るであろう。 出版の柱の一つは文芸出版であり、幸田露伴『五重塔』の初版出版は永久に記録され誇るべきとの意見も根強い。その他有名なものに、村上浪六『当世五人男』、末広重恭(末広鉄腸)『雪中梅』がある。作家的には、村上浪六(50冊以上)の他、江見水蔭(30冊以上)、小栗風葉(20冊以上)、山田美妙(10冊以上)、幸田露伴(10冊以上)、末広鉄腸(10冊以上)、稲岡奴之助(10冊以上)などの作品の出版が多い。 文芸出版以外でめぼしいものとしては、山田美妙『言文一致作例』『新体詩歌作法』、田口卯吉『日本開化之性質』、上田貞治郎編訳『分邦詳密万国地図』(出版として最初期の地図帳)、箸尾寅之助(上田竹翁)編訳『新訳和英辞書』(最初期の和英辞典)、箸尾竹軒(上田竹翁)『手風琴独案内』、成瀬仁蔵『女子教育』(日本女子大学創設につながる書)の刊行、松平定信編『集古十種』(全85巻の大シリーズ)の再刊などがある。 同社はこの他、小学校などの教科書や美術木版画も手がけていた。前者の遺産は大阪書籍株式会社に、後者の遺産は芸艸堂(うんそうどう)に受け継がれている。 出版目録には、他社出版社のものも取扱いされ、黒岩涙香『巌窟王』、尾崎紅葉の『金色夜叉』、国木田独歩の『武蔵野』、新渡戸稲造の『邦文・武士道』、福沢諭吉『修業立志編』なども記載されていた:86-88。
※この「代表的出版物」の解説は、「青木嵩山堂」の解説の一部です。
「代表的出版物」を含む「青木嵩山堂」の記事については、「青木嵩山堂」の概要を参照ください。
- 代表的出版物のページへのリンク